民法相続制度の重要な改正:配偶者居住権と特別寄与料の2制度が新設された

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平成30年1月開催の通常国会に民法相続制度の改正案が提出されました。幾つかの重要な項目が含まれていますが、特に注目すべきは「配偶者居住権制度」と「特別寄与料制度」です。

1.配偶者居住権制度

相続発生後に、配偶者がそれまで居住していた被相続人の相続財産である建物に引き読き居住することが出来るよう「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が創設されます。

配偶者短期居住権」とは、配偶者が相続財産である建物に相続開始のとき無償で居住していた場合は、遺産分割によりその居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日の何れか遅い日まで、居住建物を無償で使用することができる権利を言います。配偶者短期居住権は譲渡することが出来ず、また他の全ての相続人の承諾を得ない限り第三者に使用させることが出来ません。存続期間の満了前でも、配偶者が死亡したとき又は配偶者が配偶者居住権を取得したときは消滅します。

配偶者居住権」とは、配偶者が相続財産である建物に相続開始のとき居住していた場合で、次の(ア)~(ウ)の何れかに該当するときに,その居住建物を無償で使用及び収益をする権利を言います。但し、被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にはこの限りでありません。

(ア) 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき (イ) 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき (ウ) 被相続人と配偶者との間に、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき。

2.配偶者居住権制度の創設に伴い考えられる相続税への影響

居住建物とその敷地の所有権の相続税評価額を3千万円と仮定します。従来ですと相続人の誰が取得するかに関わりなく、3千万円を相続財産に加算して相続税総額を計算しました。改正後は、所有権3千万円を配偶者居住権と残余の所有権に分割して相続税総額を計算します。例えば配偶者居住権の評価額が1千万円であれば、所有権評価額は2千万円になります。権利内容が変っても相続税総額が同じであれば、改正に因る損得はない筈とお考えかも知れませんがそうではありません。

先ず配偶者居住権は配偶者のみが取得できる相続財産ですから、配偶者の税額軽減規定(1億6千万円又は法定相続分以下は非課税)が適用される蓋然性が高くなります。

次に将来配偶者が亡くなった時(第二次相続)での相続税負担です。配偶者居住権は一身上の権利ですから配偶者死亡と伴に消滅します。従って第二次相続では、この分課税財産が減少することになります。一方第一次相続で所有権を取得した相続人に付いては、配偶者居住権と言う制約が無くなりますので資産価値は上がります。上記設例では2千万円が3千万円になります。この経済的利益に対する見做し課税も考えられますので、今後の税務の取扱いがどうなるか気になる処です。

3.特別寄与料制度

相続人以外の者で、療養看護その他の役務の提供により被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者(特別寄与者)は、相続人に対して寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することが出来ます。当事者間で協議が調わないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することが出来ます。但し、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月を経過したとき、又は相続開始の日から1年を経過したときはこの限りでありません。

実際にはどの様な利用が考えられるでしょうか?先ず相続人以外の第三者が被相続人の療養介護で多大の貢献したと主張し、相続人に特別寄与料を請求するケースです。当然相続人とは利害が相反するため、面倒な争いになりそうです。

次に考えられるのは、相続人の妻や子が相続人と共同して特別寄与料を請求するケースです。現行税法では、相続人以外の者が相続財産を取得すると相続人から取得者への贈与となりますが、特別寄与料制度を使えば無税でこれが可能になります。事実関係の是非は部外者が知る由もないので、合法的な世代間財産移転対策として乱用される懸念があります。

 

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