非居住者が保有する源泉徴収付き特定口座で徴収された上場株式等の譲渡に係る所得税及び住民税の還付に就いてのご相談

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本年5月から海外赴任中で、9月に出国前から保有していた日本株式を売却したところ、源泉徴収されました。先生の以下記事と全く同じ状況です。http://office-.jp/tax/shotoku2/1876.html
証券会社はXXX証券です。私は出国後に電話して非居住者となる手続きを求めたところ、その電話で対応されたものと理解していましたが、XXX側ではそのようになっていませんでした。その結果、意図せず源泉徴収ありの特定口座からの売却となり、源泉徴収された税金の還付を依頼したところ、上述の理由から対応できない、との反応です。この状況に対してさらに打つ手はあるか?というのがご相談したい内容です。徴収された税金は約400万円です。

 

貴信拝承しました。同様の事情で豪州にお住まいの方がXXX証券その他で保有する源泉徴収有り特定口座で源泉徴収された所得税等及び住民税の還付請求を行って居ます。この方は国内不動産所得に係る確定申告書を提出されていましたが、提出済みの申告書に所得控除その他の誤り(非居住者は社会保険料控除や扶養控除などが受けられない)が有りました。従って過去5年分の修正申告書と更正の請求書を作成し、納税地の所轄税務署に還付請求しましたが未だ結論が出ておりません。この事案で最大のネックはXXX証券側の対応にあります。非居住者に支払いをする者が源泉徴収税率の誤り等で所定の税額より過大徴収して入る場合に、課税当局との関係に立つのは飽くまでも源泉徴収義務者とされています。即ち過誤納金の還付請求を行うのは非居住者ではなく源泉徴収義務者になります。この根拠として解説書では国税通則法第56条を上げていますが、条文を読む限り浅学の小職には何故その様な解釈になるのかが良く理解できません。XXX証券は特定口座の手続き上の不備を理由に拒否している様ですが、この法的根拠に就いては疑問なしとしません。尤も大会社相手に訴訟を起こすのも難儀ですので、実務的には源泉徴収義務者の所轄税務署を巻き込んで対応を協議する他なさそうです。
(参考)通則法第五十六条 
①国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。
② 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる。

上述の通りにて、還付請求のお手伝いは致しますが、
①還付請求についての決着見通しは不明です。税理士としては所得税法と租税条約(貴方の居住地国が分かりません)の規定から当然に還付すべきものと考えて居ります。⇒苦労しましたがお陰様で納税地所轄税務署からの還付請求が認められました。確定申告の繁忙期にて詳しく解説する余裕がありませんので詳細は後日とさせて頂きます。
②既に確定申告の繁忙期に入って居りますので貴方の事案を他に優先して処理することは出来ません。尤も還付請求の期間制限は未だ十分に残されています。
③今回の事案はかなり時間と労力を要すると思います。これに見合った報酬を申し受けることになります。
④ご依頼者との相互信頼が困難と当方が判断する場合はお断りすることがあります。
が条件になります。能々ご検討のうえご連絡下さい。

*本稿には一部筆者の私見が含まれています。
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