”生計を一にする親族の判定”に関するご質問

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母が居住する敷地(所有名義は母)内に、使用貸借契約で別棟を建て、私ども家族が住んでいます。母は父の遺族年金が主たる収入ですが、それだけでは足りず、預貯金を取り崩して生活しています。高齢なので何時相続が発生するか分かりませんが、私共の住む敷地部分について、小規模宅地等の特例の適用が受けられるかどうかアドバイスをお願いします。
税務では、「生計を一にする親族」と言うフレーズが良く出てきます。身近なところでは、所得税の医療費控除や扶養控除、雑損控除の適用要件などがこれに該当します。
“地方で一人暮らしの母親がいるが、非同居の老人扶養親族として48万円の控除を受けても大丈夫だろうか?余り仕送りはしていないが”と悩みながらも、確定申告ではしっかり控除を受けて居られる方も少なくないでしょう。源泉所得税の税務調査で、珠に訊かれることもある様ですが。

それはそれとして、今回は相続税で小規模宅地等の特例が受けられるかどうかのご相談です。
適用の対象となる「特定居住用宅地等」の一つに、
“被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地等を、その親族が取得して申告期限まで継続保有し、且つ相続開始前から申告期限まで継続して自己の居住の用に供しているもの”
があります。
今回のご相談は、ご長男が実家の敷地内に、お母様から使用貸借で土地を借り、別棟を建ててご家族で住んでいるケースです。お母様とご長男家族が「生計を一にしていた」場合には、80%評価減の適用が受けられます。別生計では適用がありません。謂わばALL OR NOTING です。

では「生計を一にする」とはどの様な場合を言うのでしょうか?
国税通則法基本通達には、
“互いに助け合って日常生活の資を共通していることを言う。同居していない場合でも、常に生活費等を扶助しているときはこれに該当する。同居していても、互いに独立して日常生活の資を共通していない場合は該当しない。”
とあります。これが全ての税科目に共通した、メルクマールになります。

一方、所得税基本通達2-47には、生計を一にするの意義について次の様に示されています。
ⅰ)日常の起居を共にしていない場合でも、勤務や修学の余暇に起居を共にするのが常例であれば生計を一にするに該当
ⅱ)日常の起居を共にしていない場合でも、常に生活費や学資金を送金していれば生計を一にするに該当
ⅲ)同一の家屋に起居している場合には、明らかに独立した生計を営んでいると認められる場合を除き該当

では、設例についてはどう判断すれば良いでしょうか。
お話からすると、お母様の身の回りの面倒を見ることは有っても、日常生活の資を共通にしてはいない様です。実態から判断する限り、適用を受けるのは難しいのではないかと思料します。
特例の適用を受けるために、事実に反し生計費や療養費の一部を負担していると強弁すれば、預金通帳等で金銭授受の事実を見せて呉れと言われて説明に窮します。
所得税基本通達のⅰを根拠に主張することも考えられますが、明らかに独立した生活を営んでいたと認められる場合には生計一に該当しないとの取扱いになります。

税理士は、確定申告でこの辺りの判断を迫られます。小規模宅地等の特例の適用可否は金額的なインパクトが大きく悩ましい処です。

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