税理士がお薦めするオーソドックスな3つの相続税対策

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相続税対策には幾つかのパターンがあります。多く見られるのは、①時価と相続税評価額の乖離を利用したもの、②贈与税や相続税の非課税制度を利用したもの、そして③納税義務者の課税財産範囲を利用したもの、です。この他にも、非上場株式等・農地・山林・医療法人持分の、贈与や相続に関する納税猶予特例が有りますが、特殊な領域ですので今回は割愛します。
出版物等で様々なプランが紹介されていますが、実際に対策を施される方の割合は然程多くない様です。何故でしょうか?考えられるのは、手間が掛かるので面倒臭い費用やリスクの心配がある相続人間の利害調整が必要、と言った理由に因るものと思われます。そこで今回は、簡単に実行できる・費用やリスクが少ない、こうした条件に合致するお薦めの相続税対策を3点ご紹介します。

1.小規模宅地等の課税価格計算の特例の有効活用

平成25年に東京国税局管轄で申告対象となった相続ですが、1人当り課税価格は2億4373万円、この内土地が占める割合は45.8%でした。先に公表された都区内の基準地価は前年比2~3%の上昇でしたので、基礎控除額引下げとの相乗効果で、申告・納付が必要な相続件数の大幅増加が予想されています。
優遇措置の要となる特定居住用宅地等の面積制限は約100坪ですが、都区内では大部分の相続がこの範囲に収まっています。仮に80%評価減の適用がないとすれば、申告割合や課税価格の著しい増加は避けようが有りません。
ところが、この適用要件が相当複雑ですので、もし可否判定を間違えると取返しの付かないことになります。錯誤であったとしても、相続発生後に分割内容を変更することはできません。相続人が複数いる場合も厄介です。特に主たる財産が居住用宅地等であった場合は、争いの元になります。遺言書が有ったとしても、遺留分減殺請求権があるため万全ではありません。相続人間の紛議を避け、特例メリットを最大限享受するためには、正しい税務解釈と人間関係への慎重な配慮が欠かせません。

2.生命保険金の非課税枠の有効活用

ここで言う生命保険契約は相続税対策用であって、遺族の生活資金確保と言う本来の目的とは異なりますので御留意願います。詳しくは幣コラム、「相続税対策としての生命保険契約の利用が増えている」をご覧下さい。
先日お客様に加入頂いた商品ですが、M生命の「定額終身保険」でした。此の商品の特徴は、①契約時一時払い保険料 ②加入年齢70才~90才 ③健康状態や職業の告知なし 積立金額以上の死亡保険金 と言った点にあります。死亡保険金の受取人は、契約者が指定した親族(相続人に限る)になります。
生命保険金はみなし相続財産ですが、法定相続人数×5百万円が非課税になります。急な資金需要が発生した場合には、解約が可能ですので、資金繰り面でのリスクはありません。但し初期段階で解約すると、契約初期費用負担額を引かれるため、解約返戻金が払込保険料を若干下回る場合があります。
死亡保険金は、民法上の相続財産ではなく受取人の固有財産となりますので、遺産分割で揉めることはありません。また死亡後1週間程度で死亡保険金が支払われますので、相続発生後に銀行預金が凍結されても、葬儀費用等の支出に充てることが出来ます。
注意点ですが、加入には本人の意思確認が必要ですので、認知症を患っているとか、重篤で契約書に署名できない場合は、加入出来ないことがあります。或る程度前広に対応することが必要になります。

3.贈与税の非課税制度の有効活用

贈与税の非課税制度には、①暦年贈与の基礎控除110万円、②贈与税の配偶者控除2千万円、③住宅資金贈与の非課税300万円~3千万円、④教育資金一括贈与の非課税1500万円、⑤結婚・子育て資金一括贈与の非課税1千万円 があります。
生前贈与による相続税対策で気を付けねばならないのは、老後の生活資金に支障が出ないようにすることです。特に教育資金一括贈与や結婚・子育て資金一括贈与は多額になるため、無理をしてはいけません。
お薦めは、暦年贈与による定額かつ継続的な資産移転です。金額は基礎控除の110万円以内に拘る必要は有りません。余裕があれば310万円までの贈与を検討されては如何でしょうか。理由ですが、相続税の最低税率10%に対し、310万円以内の贈与であれば110万円の基礎控除差引き後で最低税率10%が適用される為です。詳しくは幣コラム、「相続税対策としての生前贈与はどの程度の金額にすれば良いか?」をご覧下さい。

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