■ 初秋の富良野・定山渓・小樽・留寿都を巡る旅

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茹だる様な暑さに堪えきれず、冷気を求めて北海道央を巡る小旅行に出掛けた。露天風呂で濡れた身体が外気に震える感触を味わったのは久し振りだ。暑いよりは寒い方が遥かに良い。着こめば寒さは何とか凌げるが、サウナの如き熱風は如何ともし難い。この処の運動不足も有ろうが、先達て不覚にも熱中症で転倒し、路面に顔面を打ちつけて4針も塗う怪我をした。猛暑など糞くらえだ。
今回の旅は自ら企画し、宿や交通の手配をしたものではない。新聞に良さげな団体ツアー広告が出ていたので急遽応募したものである。
旅の初日の宿泊地はトマムである。十勝地方は公私に亘り幾度となく訪れているがトマムは初めてだ。星野リゾートを冠称するホテルとて少なからず期待していたが、築年相応の佇まいであった。過去に経営上の紆余曲折が有り、現在の経営主体は中国資本に移っている由にて或る意味已んぬる哉だ。それも有ろうか中国人団体客が目立つ。幣事務所にも中国人のお客様は多いが、もう少し約束を守り自己主張を抑えて頂ければ良いのにと思うことはある。辛口コメントばかりでは従業員の方に申し訳ない。食事は多数の施設内レストランから選択できるが、兎に角美味い。肉・海鮮・乳製品・地元野菜、何れも良し。ビールは勿論北海道限定のサッポロクラッシクだ。高層階の客室から早朝に雲海が望めた。気候条件が揃った際に短時間見られる現象らしいが、巨大な龍がのたうち廻る様は趣深い。
定山渓は札幌市南西部の渓谷沿いにある温泉郷だ。中規模の旅館・ホテルが林立する。和室の広い部屋で、久方に畳に敷かれた布団で寝たが、高級嗜好の女房殿が快適だと喜んでいたのは意外だった。流石に湯殿は豪華な造りで広い。愚生は熱い湯と水風呂に交互に浸かるのを好む。通常の日帰り入浴施設であれば18度程度の水温だが、定山渓ともなると2-3度は低い。とても首まで浸かれない。他に客の姿が見えぬを良いことに小声で歌う。年の所為か歌詞が怪しいが聴衆は我一人にて問題なし。
小樽で遊び、積丹半島を周遊して留寿都に向かう。羊蹄山を挟み西側に不動産バブルに湧くニセコが在る。90年代を彷彿させる狂騒になっているらしいが、何時か来た道にならねば良いと思う。無定見な投資に走った挙句、バブル崩壊で外資に買い叩かれるというリゾート開発の歴史がある。羊蹄山からの湧水で住民の上水道が全て無料のミネラルウオーターと言う稀有な町がある。京極町と言う。町外れの吹き出し公園に隣接して立派な日帰り入浴施設が建つ。浸かりたいとは思えども団体旅行では叶わぬ。恐らく再訪する機会は無いのが心残りだ。
ルスツリゾートホテルはWestinが経営する4つ星ホテルだ。ゴルフ場・スキー場・遊園地を備えた統合型リゾートで、経済的余裕さえあれば長期滞在したいと思わせる造りになっている。偶々タレントの出川何某の旅番組が2週間ほど前に放映され、メゾネット型の豪華な部屋に驚いていたのを視聴していたので大凡の検討は付いていた。宿泊料金が高いため自ら申し出て、一人一部屋ではなく出演者でルームシェアしたが中々の苦労人と見受けた。
斯くして4日間1千キロを超えるバス旅が無事に終了した。正直言って些か草臥れた。

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