松浦様、ご無沙汰しております。日本での滞在日数と日本での納税義務の関係についてご教示ください。事実関係は以下の通りです。
•昨年の6月より、父の健康状態変化のため日本とアメリカの間を頻繁に行き来しております。(今年から父の任意後見人になりました。)過去12ヶ月間で200日以上、今年だけでも149日間日本に滞在しておりました。(残りの3ヶ月でもっと増えます。)実際に仕事をしていた日数はそれらの数字より大幅に少ない数ですが、実際に日本に滞在していた期間はそのような日数になります。
•私は戸籍上非居住者であり現在所得は米国内のみで発生しております。
•私が米国で勤務している会社は米国籍の会社ですが、従業員がコロナ以降事務所か自宅以外の場所で仕事をするパターンが増え、その中には海外からリモートで仕事をする人(私のようなケース)も含まれます。会社に税関連の負債が起こらないようにするため、そのようなケースを対象に厳しいポリシーを施行しています。そのポリシーでは、海外に行く場合には可能な限り全ての日数を有給休暇とし通常の業務を行わないこと、働くとしても付随的なタスクのみにすること(例えばメールのチェックやチームの会議にリモートで参加すること)などが定められており、私もそれに則って最近の滞在は全て有給休暇としております。どこの法律とどう関わっているかは分かりませんが、ご参考まで。
日米租税条約について少々調べてみましたが、滞在期間が休暇なのか仕事をしていたと捉えるのかの定義が細かくて分かりにくかったので、専門家に尋ねるのが一番だと思いご連絡させていただいた次第です。
•昨年の6月より、父の健康状態変化のため日本とアメリカの間を頻繁に行き来しております。(今年から父の任意後見人になりました。)過去12ヶ月間で200日以上、今年だけでも149日間日本に滞在しておりました。(残りの3ヶ月でもっと増えます。)実際に仕事をしていた日数はそれらの数字より大幅に少ない数ですが、実際に日本に滞在していた期間はそのような日数になります。
•私は戸籍上非居住者であり現在所得は米国内のみで発生しております。
•私が米国で勤務している会社は米国籍の会社ですが、従業員がコロナ以降事務所か自宅以外の場所で仕事をするパターンが増え、その中には海外からリモートで仕事をする人(私のようなケース)も含まれます。会社に税関連の負債が起こらないようにするため、そのようなケースを対象に厳しいポリシーを施行しています。そのポリシーでは、海外に行く場合には可能な限り全ての日数を有給休暇とし通常の業務を行わないこと、働くとしても付随的なタスクのみにすること(例えばメールのチェックやチームの会議にリモートで参加すること)などが定められており、私もそれに則って最近の滞在は全て有給休暇としております。どこの法律とどう関わっているかは分かりませんが、ご参考まで。
日米租税条約について少々調べてみましたが、滞在期間が休暇なのか仕事をしていたと捉えるのかの定義が細かくて分かりにくかったので、専門家に尋ねるのが一番だと思いご連絡させていただいた次第です。
貴信拝承しました。難しいご質問ですが幣見を率直に申し上げると以下の通りです。
①日米租税条約(第8号所得)の解釈
日米租税条約第14条①には一方の締約国の居住者がその勤務に就いて取得する給料その他の報酬に対しては、勤務が他方の締約国において行われない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することが出来る。勤務が他方の締約国に於いて行われる場合には、当該勤務から生じる報酬に対して、当該他方の締約国において租税を課することが出来ると明記されています。雇用契約等に拠り提供される人的役務の提供に就いては、その提供地が国内であれば国内源泉所得になるとのOECD型条約の一般的ルールですが、そうすると勤務の意義範囲が議論になりそうです。因みに14条②(a)の短期滞在者免税規定には、3条件の1つとして「当該他方の締約国に滞在する期間が183日を超えないこと」と解釈余地がない単純な書き振りになっています。事実関係次第でしょうが、勤務外との会社側主張が普遍的に国際税務で受け入れられるかどうかは疑問なしとしません。
②令和5年分所得税申告の要否
短期滞在者免税が受けられない場合は、外国法人が源泉徴収が出来ないため給与所得者が自ら確定申告義務を負うことになります。但し、令和5年分は実務的に何もしなくて良いと思います。国内源泉給与所得の計算が大変ですし、そもそも外国税額控除の適用を受ければ課税上の弊害がないため、日本の税務署が敢えて問題にすることはないと思いますので。
日本法人の海外出向者の一時帰国では屡々話題になりますが、米国企業の勤務者についてこの種の話は余り聞いたことが有りません。これも実務に於ける判断材料の一つになろうかと思います。来年も同様の状況が続く様であればご相談下さい。
①日米租税条約(第8号所得)の解釈
日米租税条約第14条①には一方の締約国の居住者がその勤務に就いて取得する給料その他の報酬に対しては、勤務が他方の締約国において行われない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することが出来る。勤務が他方の締約国に於いて行われる場合には、当該勤務から生じる報酬に対して、当該他方の締約国において租税を課することが出来ると明記されています。雇用契約等に拠り提供される人的役務の提供に就いては、その提供地が国内であれば国内源泉所得になるとのOECD型条約の一般的ルールですが、そうすると勤務の意義範囲が議論になりそうです。因みに14条②(a)の短期滞在者免税規定には、3条件の1つとして「当該他方の締約国に滞在する期間が183日を超えないこと」と解釈余地がない単純な書き振りになっています。事実関係次第でしょうが、勤務外との会社側主張が普遍的に国際税務で受け入れられるかどうかは疑問なしとしません。
②令和5年分所得税申告の要否
短期滞在者免税が受けられない場合は、外国法人が源泉徴収が出来ないため給与所得者が自ら確定申告義務を負うことになります。但し、令和5年分は実務的に何もしなくて良いと思います。国内源泉給与所得の計算が大変ですし、そもそも外国税額控除の適用を受ければ課税上の弊害がないため、日本の税務署が敢えて問題にすることはないと思いますので。
日本法人の海外出向者の一時帰国では屡々話題になりますが、米国企業の勤務者についてこの種の話は余り聞いたことが有りません。これも実務に於ける判断材料の一つになろうかと思います。来年も同様の状況が続く様であればご相談下さい。
*本稿には一部筆者の私見に属する部分が有りますので御承知置き下さい。
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