<緊急>海外不動産の譲渡等に係る外国所得税の減額が有った場合は外国税額控除の調整申告を怠ると更正処分の対象になります

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確定申告業務の繁忙時期が到来しました。令和3年分の確定申告では米国不動産の高騰や円安に起因して、海外不動産の譲渡に係る確定申告のご依頼が多く寄せられましたが、これに関連した特有の問題が令和4年分の確定申告で生じている様です。時節柄詳しく解説する余裕が有りませんので今回はポイントのみお知らせ致します。
米国で非居住者が不動産を譲渡した場合は、譲渡時に売却収入の15%相当の連邦所得税が源泉徴収されます。この他に州税が源泉徴収される場合もあります。不動産譲渡所得は所謂USIEC所得なので源泉徴収で済ませることは出来ず、翌年の4月にF1040による申告が必要になります。多くの場合は源泉徴収税額>確定税額になりますので、皆さん申告をされ過大徴収税額の還付を受けて居られると思います。
日米間に生じた二重課税は、日本での外国税額控除の適用により回避出来ます。ところが令和3年分の外国税額控除額の計算の基になった外国所得税は源泉徴収税額なので、米国での申告による税額確定の結果、日本での外国税額控除が過大適用となります。これに該当する場合は、令和4年分の確定申告で前年に受けた外国税額控除に係る調整を行わなければなりません。これは強制規定で、怠ると更正処分の対象になります。この辺りの関連規定は所得税法第95条⑨と所得税施行令第226条ですが、計算がかなり複雑です。還付を受けたかどうか当局に分かるまいと嵩を括っていてもそうは行きません。令和3年分の確定申告書(外国税額控除に関する明細書)に外国所得税額の内訳として源泉・申告の区分及び納付日が明記されて居り、加えてvoucherとしてW/H Taxのコピーを提出しているからです。全てバレバレです。
此れとは逆に源泉徴収税額<確定税額になる場合です。滅多にないと思いますがこの場合は追加の外国税額控除の適用を受けることが可能です。令和3年には州税が源泉徴収されなかったが、令和4年の申告で州税額が確定した場合もこれに該当します。減額と異なり申告するかどうかは納税者の任意選択です。

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