二世帯住宅にお住まいの方から小規模宅地特例の適用についてのご相談

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母と私ども家族は都内に在る二世帯住宅(1Fに母、2Fに私ども家族)に住んでいます。父の存命中に両世帯で資金を出し合い新築したものですが、住宅ローンの関係から区分所有登記(1Fが母所有、2Fが私の夫所有)になっています。因みに母と私ども家族は別生計です。宅地面積は480㎡あり、全て母の名義になっています。同じ敷地内に、姉夫婦の自宅が建っています。この建物の所有者は姉の夫で、母への地代支払いはありません。高齢の母に相続が発生すると、二世帯住宅の敷地は私が、姉夫婦の自宅敷地は姉が相続することになると思いますが、この場合に小規模宅地等の特例の適用はどうなるでしょうか?

 

先ず貴女が相続する二世帯住宅の敷地ですが、現状では残念ながら全体について小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ません。次に別棟のお姉様の自宅敷地です。此方に就いては、お姉様とお母様の生計が同一か否かがポイントになります。生計同一であれば特例の適用が受けられます。別生計ですと適用は受けられません。お話から察するに生計同一と主張するのは難しい状況の様です。
二世帯住宅の敷地については、建物を区分所有登記から持分共有登記へ変更するなどの対応策が考えられます。然しながら、ほぼ同一時価の宅地を相続したにも拘らず姉妹で相続税負担に大きな差異が生じるのは不都合です。これをどう調整するかを含め、今後の検討が必要です。

二世帯住宅の敷地については小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ません。理由は二世帯住宅が区分所有登記されていることと、貴女とお母さまが別生計であること、そして貴方がご主人所有の家屋にお住まいの為です。
先ず特例対象宅地等の判定ですが、お母様の居住部分は当然に該当します。ところが、貴女の居住部分については生計別かつ区分所有登記建物なので該当しません。
次に宅地等を取得する親族の要件ですが、イの被相人が居住していた一棟の建物に居住していた親族、ロの家なき子、ハの生計同一親族、の何れかに該当する必要があります。ところが現状では何れにも該当しません。従って、二世帯住宅の敷地全体について特例の適用を受けることができません。

対策ですが、相続発生前に建物を区分所有登記から共有持分登記に変更することをお薦めします。そうすれば1F対応部分及び2F対応部分とも特例対象宅地等になります。親族の要件については、イの同居親族に該当します。変更登記ですが、現在の区分所有割合に応じた共有持分登記への変更を行います。住宅ローンが残っている場合は、期前返済を含めた銀行との協議が必要になります。
区分所有登記の変更以外には手がないでしょうか。生計同一に変えれば、貴方がお住まいの2F対応部分が特例対象宅地等になります。親族の要件についてはハに該当しますので、この部分だけは特例の適用が受けられます。1F対応部分に就いては適用が受けられません。
ところで二世帯住宅が区分所有建物かどうかをどの様に確認すれば良いでしょうか。法務局で当該建物の全部事項証明書を取付けます。この場合に専有部分の家屋番号が必要になります。表題部に「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」があれば、二世帯住宅が措置法に定める”区分所有である旨の登記がされている建物”に該当することが分ります。

次にお姉様の自宅敷地です。別生計であれば、特例対象宅地等には該当しません。生計同一ですと該当します。
この辺りの判断は微妙ですが、お母様が軽度の認知症を罹われているためお姉様が財産管理をされている由。但しその事実を以て生計同一と言えるかどうかは疑問です。医療費や介護費用の負担・電気ガス等の公共料金支払い・国保等の加入状況その他を総合的に勘案して、”日常生活の資を共通にしているかどうかが判断されます”ので、妙に取り繕って事実と異なる申告をすると税務調査で問題になることも考えられます。

特定居住用宅地等の適用制限面積は330㎡です。貴方とお姉様の何れも特例の適用を受けることが出来るとすれば、トータル面積が限度面積を超えてしまいます。特例対象宅地等の中から何れを特定居住用宅地等として選択するかは、特例対象宅地等の取得者全員の協議に基づき確定申告書に記載することになります。

 
平成30年度税制改正を踏まえて一部前提条件を変更のうえ記事を書き直しています。
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