中小企業でも適用の可能性がある優遇税制(経済対策税制/所得拡大促進税制)のチェック漏れ

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租税特別措置法には数多くの特別償却・特別税額控除の優遇制度が設けられています。目的別に、研究開発税制・経済対策税制・所得拡大税制などに区分されていますが、同じ様な内容で且つ数が多いため全体像が良く掴めません。中には2~3年で廃止されたり、適用要件が変更されるものもあります。国の政策として設けられたものなので小規模の中小企業には馴染まない制度が多く、端から対象外との思い込みで適用可否を検討しない会社も少なくありません。ところが稀に該当することが有り、適用漏れが発覚すると誰の責任だと騒ぎになります。余り手間暇を掛けずに、優遇措置の適用漏れを防ぐ上手いやり方はないものでしょうか?

設備投資関連の優遇措置の内容ですが、取得価額の30%の特別償却か基準所得価額の7%の税額控除の選択適用が殆んどです。所得拡大関連は、給与の支給増加額の15%相当(上乗せ要件を充たした場合は20%又は25%)の税額控除です。
この辺りは大凡の理解で結構ですが、該当の蓋然性がある制度については、摘要対象法人の範囲や具体的な摘要要件を正確に把握する必要があります。これを一覧表に纏めて、当該企業の業務内容や各事業年度の投資或いは給与の支給状況に照らし合わせて、該当するかどうか篩(ふるい)に掛けることをお薦めします。当事務所が一般的な中小企業でも該当の可能性ありと判断する優遇制度を、以下にリストアップしましたのでご活用下さい。

1.研究開発税制
青色申告書を提出する中小企業者等が、各事業年度に損金に算入する試験研究費の額が増加した場合に適用される制度(中小企業技術基盤強化税制)ですが、該当する中小企業は多くないと思いますので割愛します。

2.経済対策税制
(1)中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、対象設備を取得・製作して国内の指定事業の用に供した場合は、30%の特別償却又は7%の税額控除の適用が受けられます。中小企業者等とは資本金又は出資金が1億円以下の法人(大規模法人の子会社等を除く)を言います。資本金が3千万円以上の法人に就いては、税額控除が選択できず特別償却のみの適用になります。
適用対象会社は資本金1億円以下の中小企業者等ですが、業種の指定が有ります。製造業・建設業・農林水産業・道路貨物輸送業・倉庫業・卸売業・小売業・飲食業・宿泊業・美理容業その他のサービス業など広範囲の業種が該当します。不動産業や物品賃貸業、電気業・水道業・娯楽業などは対象外です。
主な適用対象資産は次の通りです。
①機械及び装置で1台または1機当たりの取得価額が160万円以上のもの
②ソフトウエアで1の取得価額が70万円以上のもの
③貨物の輸送の用に供される普通自動車で総重量が3.5トン以上のもの、その他の設備
(2)中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、特定経営力向上設備等を取得して国内の指定事業の用に供した場合に適用が有ります。特別償却を選択した場合の償却限度額は、普通償却限度額を控除した金額相当額とされていますので、取得価額の全額を即時償却することが可能です。税額控除については、資本金が3千万円超の法人は7%、その他の法人は10%が適用されます。
適用対象会社は資本金1億円以下の中小企業者等で、中小企業者等経営強化法に定める経営力向上計画の認定を受けたものです。中小企業投資促進税制と略同様の業種の指定が有りますが、不動産業や物品賃貸業も指定業種に含まれています。
主な適用対象資産は、指定事業の用に供される次の生産等設備で、中小企業等経営強化法に規定する要件を充たすものです。
①機械及び装置で1台または1機当たりの取得価額が160万円以上のもの
②工具・器具及び備品で1台または1機当たりの取得価額が30万円以上のもの
③建物附属設備で1の取得価額が60万円以上のもの
④ソフトウエアで1の取得価額が70万円以上のもの

3.所得拡大促進税制
(1)給与等の引上げ及び設備投資等を行った場合の税額控除
青色申告法人が、平成30年4月1日から令和3年3月31日の間に開始する各事業年度に於いて、国内雇用者に支給する給与の額が一定割合増加し、且つ当期の減価償却費の90%相当額以上の国内設備投資を行なった場合に税額控除の適用があります。但し中小企業者等に付いては、後段の設備投資要件を充たさない場合でも適用が受けられます。
給与の増加要件ですが次の①と②の何れをも満たす場合が該当します。誤解を恐れず端折って言えば、中小企業の場合は前年比1.5%以上の賃上げをすると支給増加額の15%相当の税額控除が受けられます。
①雇用者給与等支給額>比較雇用者給与等支給額
②(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧3%(中小企業者等は1.5%)

 
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