平成31年度の法人課税に関する改正は、「イノベーション促進のための研究開発税制の見直し」「中堅/中小/小規模事業者の支援」「地方税の体系見直し」の3テーマに就いて行われました。今回は中小法人との関わりが深い、後者の2テーマに絞り解説します。特に地方税体系は、朝令暮改の如き改正が行われたため、可也分り難くなっていますので御留意下さい。
1.中堅/中小/小規模事業者の支援
(1)軽減税率の特例
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限が2年延長されます。普通法人の8百万円以下の所得には15%、超える部分の所得には23.2%の税率が適用されます。
(2)中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
適用期限が2年延長されます。なお中小企業投資促進税制と次項の中小企業経営強化税制の内容に就きましては、別稿の「中小企業でも適用の可能性がある優遇税制(経済対策税制/所得拡大促進税制)のチェック漏れはないですか?」で詳しく解説していますので其方をご参照下さい。
(3)中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
対象設備の範囲を見直したうえ、適用期限が2年延長されます。
(4)中小向け租税特別措置法の所得制限
資本金額が1億円以下の法人であっても、過去3事業年度の平均所得金額が15億円を超えるもの(適用除外事業者)は、中小企業向けの一定の租税特別措置が適用出来なくなります。平成31年4月1日以降開始事業年度から適用されます。
(5)みなし大企業の判定
中小企業者向けの各特例措置に於けるみなし大企業の判定に関して、大規模法人に”大法人の100%子会社”と”100%グルー内の複数の大法人に全ての株式等を保有されている法人”が加えられます。
2.地方税の体系見直し
(1)地方法人税の税率改定
法人税と共に徴収され、地方交付税交付金として配分される地方法人税(ネーミングが紛らわしいのですが国税で、課税標準は法人税額です)の税率が、平成31年10月1日以降に開始される事業年度から4.4%⇒10.3%に改定されます。
(2)法人事業税の税率改定並びに、地方法人特別税の廃止と特別法人事業税の創設
中小法人に適用される法人事業税所得割額の標準税率が、平成31年10月1日以降に開始される事業年度から3.5%(所得金額4百万円以下の部分)/5.3%(4百万円超8百万円以下の部分)/7.0%(8百万円超の部分)に改定されます。
同時に地方法人特別税が廃止され、新たに特別法人事業税が創設されます。税率は基準法人所得割額(=標準税率で算出した法人事業税所得割額)の37%です。
*質問や相談をご希望の方は、ホームの「ご質問/お問い合せ」をご利用下さい。ビデオ通話での打合せも可能です。
*申告その他の実務をご希望の方は、ホームの「料金のご案内」をご参照下さいます様お願い申し上げます。