広大地の評価通達が廃止され地積規模の大きな宅地の評価通達が新設された

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平成30年1月1日以降の相続又は贈与から適用される、広い宅地に係る相続税財産の評価通達に関する重要な改正がありました。

Ⅰ.変更前の通達は「広大地の評価通達(24-4)」と呼ばれ、路線価地域に存在する広い宅地ですと35%~55%もの補正率が適用されていました。
何が変更されたかの理解を容易にするため、まず旧通達の要旨を纏めて見ましょう。
① その地域における標準的な宅地の地積に対し著しく地積が広大な土地で、
② 都市計画法第4条に定める開発行為を行うとした場合に、公共公益的施設用地の負担が必要なもの(大規模工場用地に該当するもの及び中高層集合住宅の敷地に適するものを除く)については、
③ その広大地が面する路線価に次の広大地補正率:0.6-0.05X広大地の地積/1000㎡ を乗じて計算した価額に、その広大地の地積を乗じて計算した金額により評価する。

広大地の評価通達は、長らく税理士業界で相続税申告の鬼門とされてきました。何故かと言えば適用要件が抽象的で、しばしば納税者と税務当局との間に見解相違が生じたからです。特に②の ”公共公益的施設用地の負担の要否” や ”中高層の集合住宅等の敷地の適否” については、仮定の話ゆえ絶対的真実と言うものがなく紛議の元になりました。判断が着きかねる場合は保守的に広大地評価を適用せずに申告するケースがあり、税理士と顧客との間でも揉め事が多かった様です。

今回の改正では、こうした曖昧さを排除するために適用要件の数値化・明確化が図られ、外形基準での判定が容易になりました。特に開発行為に係る公共公益的施設用地の負担要件が無くなったのは朗報ですが、一方で適用範囲や減額割合が縮小されたとの声も聞かれます。広大地評価通達では適用対象だが、地積規模の大きな宅地の評価通達では適用対象外と言うケースが多発するであろうと言われています。

Ⅱ.新設された通達「地積規模の大きな宅地の評価(20-2)」の要旨は次の通りで、旧通達に比べ補正率が縮小されています。
ⅰ)地積規模の大きな宅地(3大都市圏に於いては500㎡以上、その他の地域は1000㎡)で、次のイ~ハに該当しないもののうち
ィ.市街化調整区域(都市計画法第34条により宅地分譲に係る開発行為が認められた区域を除く)に所在する宅地
ㇿ.都市計画法第8条に規定する工業専用地域に所在する宅地
ㇵ.建築基準法に定める容積率が400%(東京都特別区は300%)以上の地域に存在する宅地 (注)基準容積率ではなく都市計画で指定された容積率(指定容積率)で判定する。指定容積率が異なる2以上の地域に跨る場合は、面積で加重平均した容積率により判定する。

ⅱ)普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものの価額は

ⅲ)評価通達第15項(奥行価格補正)から第20項(不整形地の評価)までの定めにより計算した価額に、その宅地の地積に応じ次の算式に拠り求めた規模価格補正率を乗じて計算した金額により評価する。紙面の都合上、算式は省略。

ⅳ)この規定は市街地農地等や雑種地にも適用がある。

Ⅲ.追加情報:マンション等の区分所有建物の敷地に関する取扱い
旧広大地の評価通達では、マンション適地に就いては広大地補正率の適用が認められませんでした。そのため一戸建住宅とマンションが混在する地域では、当該物件が何れの適地になるかの判定が微妙でしたが、新通達では容積率と用途区域が基準になるので判断に迷うことはありません。現にマンションやアパートが建っている土地でも、上記Ⅱの要件さえ満たせば適用が受けられます。
この場合にマンションの1室のみの区分所有ですが、マンション全体の敷地が面積制限・容積率・用途区分を満たしていれば適用が受けられます。これに対し小規模宅地等の特例の面積制限は、マンションの敷地全体ではなく区分所有する1室に対応する敷地面積で判定しますので、多くの場合に適用が受けられません。混同しない様に御留意下さい。
都内のマンション用地についてどの程度適用が受けられるかですが、指定容積率が300%未満と厳しいため、駅近の商業エリアや幹線道路沿いに在るマンションは難しいと思われます。因みに旧広大地の評価通達でも、容積率が300%以上の場合は認められていませんでした。
 

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