一時的な空室になっているアパートや貸家の相続税評価額に関するご相談

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この3月に父が亡くなりました。相続財産中に部屋数15室の賃貸マンションがあります。その内2室が相続発生時には空室でした。空室部分については貸家や貸家建付け地の評価減が受けられないそうですが、募集中で一時的な空室であれば認められるとの話を聞いたことがあります。確定申告ではどう処理すれば宜しいでしょうか?

 

一時的な空室に該当するか否かは以下の解説文中に列挙した各事実関係から総合的に判断しますが、就中相続前後の空室期間の長短が重要です。1ヶ月程度であれば一時的空室として評価減が認められますが、流石に5カ月となると難しい様です。簡単な話なので国税不服審判所に持ち込まれる事案も多く、大部分は空室期間の糊代を巡る争いです。退去後の現状回復や入居者募集に時間が掛かることから2-3月であれば認められる筈とお考えかも知れませんが、現実には厳しい裁決が下されています。

貸家建付地の評価額は、自用地の価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じて算出される金額(=借家人の敷地に対する支配権に相当する金額)を、自用地としての価額から減額することに拠り求められます(財産基本通達26)。ここで言う賃貸割合ですが、分母の内課税時期に賃貸されている各独立部分の床面積の合計/当該家屋の各独立部分の床面積の合計の算式で求められる割合です。これに関して通達には、”賃貸されている各独立部分には、継続的に賃貸されていた各独立部分で課税時期において一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない”との注記があります。

「一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」とは如何にも曖昧な表現であり、実務執行上の混乱原因になり兼ねませんので、国税庁の質疑応答事例には次の判断基準が示されています。
①各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されていたものであること
②賃借人の退去後、速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
③空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
④空室の期間が課税時期の前後の例えば1ヶ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
⑤課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか

納税者の不服理由の多くは、新たな入居者の募集を行ったが中々成約に至らなかったのだから、それに要した期間が2~3か月であれば認められて然るべきだと言うものです。然しながら入居者募集は②で要件の一つに挙げられて居り、その上で④の要件を定めていますので特殊事情でもない限り認められる余地は少ない様です。退去後の原状回復工事に想定外の時間が掛かった場合などは然るべく斟酌されます。実体経済として1ヶ月が短か過ぎるのであれば判断基準そのものを見直す必要があるでしょう。

最後に戸建て貸家が空室になっていた場合の取扱いですが、アパートや賃貸マンションなどの集合住宅とは異なり、課税時期に現実に貸付られていたかどうかで判定されますので御留意下さい。
 
(お断り)
本記事中には、筆者私見に基づく個所がありますのでお断りして置きます。
本記事は、東京税理士会発行の東京税理士界平成28年8月号の実務研究記事を一部参照しています。

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