海外預金の利子や外貨建預金の為替差益は所得税の確定申告が必要

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現実にはこれ等の金額を確定申告されている方は殆んど居られないと思います。ただ海外不動産や株式等の取得及び売却に関連して税務調査を受けた時に、該当の有無を尋ねられると抗弁出来なくなりますので、原則はしっかり理解して置く必要があります。なお20万円以下の場合など確定申告の要否に付いては、必要との前提でお話をさせて頂きます。

1.海外預金の受取利子
居住者が国内で受取る預貯金の利子については、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税で課税関係が完結します(措置法第3条)。確定申告は出来ません。一方海外で受取る利子についてはこの規定の対象外なので、確定申告をしなければなりません。総合課税の利子所得として申告します。
 
2.外貨建て預金の為替差損益
外貨建て預金の預入れと払出しの間に生じた為替差益は、総合課税の雑所得として申告しなければなりません。利子と異なり、国内金融機関の外貨建預金についても必要です。為替差損が出た場合は、他に黒字の雑所得が有った場合のみ損益通算が可能です。なければ切り捨てるしか有りません。こう書くと如何にも簡単に思えますが、計算実務は煩雑です。

(1)為替差損益の認識時期
預金の引出しにより為替差損益が実現した時に認識します。期末(年末)時点での為替レートに拠り、換算差損益を認識する必要はありません。これが法人税とは最も異なる点です。
引出しと言いましたが、厳密には資金を他通貨現金や他通貨建て預金に変換したとき、又は資金を異なる種類の資産の取得に充てたときです。
前者については、例えばUSドル預金を引出して円の現金に交換若しくは円建て預金に預入れると為替差損益が発生します。USドルの現金に交換若しくは他のUSドル建て預金に預け替えした場合は、為替差損益を認識しません。同一通貨での預け替えに付いては、同一行内のみならず他行への預け替えについても同様の取扱いになります。
後者の異なる種類の資産の取得資金に充てた場合ですが、どの通貨建てであるとに拘らず為替差損益を認識します。例えばUSドル預金を引き出しT-Bill(米国財務省証券)を購入した場合は、新たな経済価値を持つ資産が外務から流入したことに因り評価差額に過ぎなかった為替差損益が実現したものとして所得を認識する必要が有ります。 

(2)為替差損益の計算方法 
引出し時の為替差損益は次の算式で計算します。
為替差損益=取引円換算額-取引分の円簿価
取引円換算額は簡単に計算できますが、取引分の円簿価(払出しコスト)は当該外貨預金の預入れ及び払出しが反復して行われていると厄介です。国税不服審判所の判例では、この様な場合に総平均法を用いて円簿価を計算するのが合理的であるとの見解が示されています。理屈は良く分かりますが、実際に個人がこの計算をやるとなれば大変です。冒頭で、現実には外貨建て預金の為替差損益を申告をされている方は少ない筈と申し上げた背景がここに有ります。
 
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