上場株式等の売買損益や配当を確定申告すると、国民健康保険料の負担などで不利になる場合がある

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国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者については、上場株式等の売買損益や配当を確定申告すると保険料負担が増え不利になる場合があります(*)。もし源泉徴収有り特定口座で上場株式等の譲渡損失が発生し、他口座の譲渡益や配当との損益通算のために確定申告をする場合には、所得税と住民税で異なる課税方式(所得税は申告分離課税/住民税は申告不要制度)を選択されることをお薦めします。所得税負担の軽減と国民健康保険料負担増の回避を一石二鳥で狙うことが出来ます。なお上場株式等の配当に関しては別稿「上場株式配当の総合課税による確定申告に付いてのご相談」もご参照下さい。
(*)給与所得者とその家族に付いては確定申告による健康保険料負担での不利益はありません。理由は社会保険料が標準報酬月額を基に算定され、株式譲渡益や配当が影響することはないためです。

国民健康保険料のうち所得割の算定基礎額となる住民税の総所得金額等には、株式等の譲渡所得金額を含みます。ところが実務では、特定口座(源泉徴収あり)内の上場株式等の譲渡所得は算定基礎額から除外され、確定申告された譲渡所得は算定基礎額に加算されています。理由は単純で、前者は源泉徴収のみで課税関係が終了するため、市区町村では算定基礎額たるべき上場株式等の譲渡所得金額が把握出来ないからです。因みに平成30年度以降の住民税申告書には、上場株式等の譲渡所得の課税方式について「住民税と所得税で異なる課税方式を選択する」ための記入欄が設けられています。

それでは課税方式に因り得失が生じる具体的事例を考えて見ましょう。
A特定口座の差引き譲渡所得金額が50万円、B特定口座の差引き譲渡所得金額が▲40万円とします。口座間の損益通算のため確定申告をすると、所得税・住民税合わせて8万円(40万円X源泉徴収税率20%)の還付金が受けられます。他方、AB損益通算後の譲渡所得金額に対して、大凡1万円(10万円X標準保険料率10%)の国民健康保険料と介護保険料の負担増が発生しますので、トータルでの確定申告メリットは7万円になります。
A特定口座の差引き譲渡所得金額が100万円、B特定口座の譲渡損失金額が▲20万円とします。還付金は4万円(20万円X20%)、対して保険料の負担増は8万円(80万円X10%)ですから確定申告をすると逆に4万円の損になります。
同様の事象は、上場株式等に係る譲渡損失の3年間繰越控除のために確定申告を行った場合にも発生します。仕組みは全く同じです。
それでは確定申告書に損益通算をする金額のみ記載して、その他は確定申告なしにすれば良いのではとお考えかも知れませんが、そう上手くは行きません。実際に確定申告書様式と証券会社から送られてくる特定口座年間取引報告書を見れば直ぐに分ります。確定申告書には源泉口座毎の年間取引合計額を記載する必要があり、特定口座年間取引報告書には年間取引合計額が一括表示されています。このため損益通算部分以外の譲渡所得についても市区町村で把握できる訳です。

どうすれば必要な損益通算を行い、且つ通算部分以外の譲渡所得に対する保険料負担を回避できるのでしょうか?それには先ず同一の特定口座内で損益通算を完結させ、複数の口座間での損益通算が不必要となる様に、株式含み損益具現化のタイミングを計ることです。次に前年からの譲渡損失の繰越控除については、その年分の控除に必要な譲渡利益のみを出すに止め、その他の含み益については翌年以降に実現を繰り延べます。これは繰越控除後の譲渡所得金額がその年分の国民健康保険料の算定基礎額となるためです。

上場株式等の譲渡損益及び配当等に関する課税方法の選択
1.譲渡損益 口座の種類 所得税 住民税
源泉徴収あり特定口座 確定申告をする 確定申告をする
確定申告をしない
確定申告をしない 確定申告をする
確定申告をしない
源泉徴収なし特定口座 確定申告をする 確定申告をする
一般口座 確定申告をする 確定申告をする

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