ところがこの種の明白な節税取引には、租税回避行為として厳しい当局の規制があると聞いて居ります。どうすれば良いかアドバイスをお願いします。
税法では含み損失の損金不算入が大原則です。この抜け穴として法人が行う上場株式や店頭売買株式のクロス取引は、租税回避行為として厳しく規制されます。同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱われます。
これに対し個人のクロス取引については、市場を通じての取引であれば節税目的であったとしても規制がありません。日本証券業協会からの照会に対する平成12年3月17日付の国税庁回答書に、その旨が明記されて居り現在までこの取扱いは変更されていません。
ところで、同一特定口座で同一営業日に同一銘柄の売却と買付を行った場合の、取得価額の調整計算ですがどの証券会社でも同様の計算を行います。これは税務上の理由ではなく、売却株式の譲渡原価を計算するにあたって従来から所有していた株式から充当するのか新たに取得した株式から充当するのかの判定が出来ないと言う計算技術上の理由に因るものです。
例えば取得価額@800円のA株式1千株を@500円で全量売却し、同時に@500円で1千株買戻したとします。新たな取得価額は@500円ではなく、(800円+500円)÷2=@650円になります。この結果譲渡損益は(500円ー800円)x1千株=▲300,000円ではなく、(500円ー650円)x1千株=▲150,000円になりますので、他銘柄と損益通算するには15万円の譲渡損失が足りません。
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