不動産賃貸の会計・税務 -実務編その1 修繕費-

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不動産賃貸の会計・税務で、他の事業と異なる特徴として、修繕費・減価償却費・消費税などに関連する処理が挙げられます。
税務のルールを順守し、且つその枠内で税負担を極力軽減するための施策を、実務に即した形で検討したいと思います。今回は修繕費です。

1.修繕費

業務用の建物や器具及び備品などの修繕に要した費用は必要経費に算入されます。但し、修繕費・改良費など名目の如何に拘らず、資本的支出となるものは即必要経費に算入することが出来ません。一旦固定資産に計上した後に、減価償却費として必要経費に算入する必要があります。

①資本的支出と修繕費の判定

<原則的な区分基準>
A)資本的支出:固定資産の使用可能期間を延長したり、価値の増加をもたらす様な積極的な支出が資本的支出となります。例えば次の様な支出が該当します。
イ.避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
ロ.用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
ハ.品質や性能の高い部品に取り換えた場合、通常要する金額を超える部分
B)修繕費  :固定資産の通常の維持管理や原状回復のための消極的な支出が修繕費となります。例えば次の様な支出が該当します。
イ.外壁の塗り替え工事や屋根の防水工事
ロ.畳・壁紙・カーテン等の取替え費用

<事務簡素化のために、通達で認められている形式基準>
次に掲げる支出を、修繕費として所得金額の計算を行い確定申告をすれば、修繕費として必要経費に算入することが出来ます。
A)原則的な区分基準に拘らず、以下の何れかの要件に合致するもの。
イ.概ね3年以内の周期で実施される修理・改良に要する支出(金額制限なし)
ロ.一の修理・改良に要する支出金額が20万円未満のもの
B)一の修理・改良の金額の内に、資本的支出か修繕費であるかが明らかでない金額がある場合に限り、以下の何れかの要件に合致するもの。
イ.その明らかでない金額が60万円未満のもの
ロ.その明らかでない金額がその資産の前年末取得価額の10%以下であるもの

<資本的支出と修繕費の区分の特例>
一の修理・改良の金額の内に、資本的支出か修繕費であるかが明らかでない金額(上記の形式基準の適用があるものを除きます)がある場合に、継続してその金額の30%相当額とその修理・改良をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額として所得金額を計算して確定申告を行っている場合(割合区分に拠る方法と言います)は、資本的支出と修繕費の区分の特例として認められます。

②資本的支出部分に係る減価償却計算

資本的支出については、原則としてその金額を取得価額として、基となった減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして取り扱われます。
従って、青色申告者であれば「中小企業者の少額減価償却資産の特例制度」を活用し、30万円未満の資本的支出は事業供用時に一時償却することで、修繕費と同じ税効果が得られます。但し少額減価償却資産の合計額が300万円までの制限がありますので、御留意下さい。

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