非居住者が国内源泉所得を有し、総所得金額等が所得控除の金額を超える場合で、所得税額が配当控除額を超えれば確定申告義務があります。要は賃貸収入のみの方は不動産所得の金額が基礎控除額を超える場合に確定申告が必要と言うことです。また国税通則法第117条により、申告書の提出その他の事項を処理するには納税管理人を定めなければなりません。私共も海外居住中のお客様からご依頼を受け、納税居管理人として申告・納付を行っていますが、重畳的に義務を負うため依頼者との間に信頼関係がなければお引受けして居りません。
非居住者に適用される所得控除は雑損控除・寄付金控除・基礎控除のみで、国内源泉所得の合計額がこれを上回れば確定申告をしなければなりません。源泉徴収税額が納付税額を上回れば確定申告の必要はありませんが、申告して税の還付を受けることが出来ます。これが税法所定のルールで、納税者はこれに従い権利行使・義務履行をすることになります。
ご相談者の意図は、今年は源泉徴収をされたので確定申告により税額還付を受け、来年以降は源泉徴収の免除を受けて無申告で済まそうと言うことの様です。残念ながら、何を根拠に源泉徴収の免除を受けようと言うのか全く理解できません。非居住者の国内源泉所得に対する源泉徴収制度は所得税法(国内法)に定められた強制規定です。租税条約に特典条項があればともかく、日英租税条約第6条には「一方の締約国の居住者が他方の締約国内にある不動産から生ずる所得に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる」と明記されています。国内に恒久的施設を有する非居住者等が税務署長の発行した源泉徴収等の免除の証明書を所得の支払者に提示した場合には、その証明書の有効期間内に支払う特定のものについて所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を要しないこととされていますが、本事案は言わずもがなこれに該当しません。
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