1週間ほど前の日本経済新聞に ”政府の税制調査会は専門家会合で、不動産を活用した相続税の節税効果について議論した。国税庁は賃貸マンションを一棟丸ごと購入したり、商業ビルを小口化したりする事例で節税効果が大きいと指摘した。今後政府が対策に乗り出す可能性がある。” との記事が掲載された。何故節税になるかの理由が簡単に説明されていたが、特に目新しい内容はない。何れも相続財産の評価基準を定めた相続財産評価基本通達の根幹をなすものなので、これが相続税対策の奇禍になっているとの指摘であれば、相続税制に於ける不動産に係る遺族の生計等への配慮等を一から見直す必要がある。長く続いた不動産市況の低迷時期にはこうした議論は生じなかったが、近時の都市部に於けるマンション価額の高騰や賃貸料の値上げで、国民の間に不満が燻りつつあるため政府も手を拱いている状況ではなくなったのであろうか。
確かに小職の身の回りでも幾つか先駆け的な事象が見受けられる様になった。先ごろ手がけた相続税申告では、被相続人の相続財産中に占める一棟型賃貸マンション(うち共有持分2分の1)の割合が大きく、推定時価207百万円に対し課税価格は約3分の1の68百万円になったため、多額の相続財産の割には拍子抜けする程相続税額が安く収まった。北海道で手広く賃貸マンションを営むお客様からは、駅近の一等地にある8階建て賃貸マンションに想定外の高値で買い乙波が入り、間もなく成約予定との知らせが入った。買主サイドでの高値乙波と相続税対策との関りが良く分からぬが、地方でも一等地の優良不動産には動きが出ていることが窺われ喜ばしい話である。
ここで相続財産としての一棟賃貸マンションの優位性を纏めてみよう。
①実勢価額と路線価との乖離

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