持ち株会で取得した上場株式の譲渡所得の計算に関するご質問

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私の勤務する会社(上場会社)の社員持株会に加入して給与天引により会社の株式を継続的に買ってきました。この処の株式市場の活況に加えて、会社も好決算が続き予想外に株価が値上りしたので、一度利益確定売りをしたいと思います。
既に持株会から大部分は引出し私の名義に変更して、何時でも売れる様に証券会社の特定口座に預け入れていますが、分離課税所得金額の計算に必要な正確な取得費が分かりません。確定申告の際は、どのように計算すれば良いのでしょうか?
なお、持株会の加入期間は通算で20年以上になりますが、その間に拠出金額の変更や引出し及び売却した株式もあるので自分でも正確な処は分かりません。
長期に亙り一定時期に一定額を拠出して株式等を取得する投資方法をドルコスト平均法と言います。想定外の相場変動リスクを回避する意味では有用な投資手法ですが、その一部を売却した場合の取得原価を計算するのが厄介です。持株会から「投資等報告書」や「退会(引出)計算書」等で拠出金額と取得株数が報告されて来ますので、累計の平均取得単価は計算できますが、既に一部売却済みの場合は今回譲渡する株式に対応する取得費を正確に計算するのが困難です。
この方の場合は、過去に何度か社員持ち株会から引き出して証券会社の特定口座に預け入れています。この場合に証券会社が当該株式に付す取得価額は、持株会で管理されていた取得価額とされていますが、自己申告の場合など必ずしも正しい金額ではないケースがあります。その場合は発行される年間取引報告書も間違えています。尤も実務で税務署が其処までチエックするかどうかは疑問ですが。

因みに、株式の取得価額の計算方法は所得の種類に応じて異なり、事業所得では総平均法なのですが、譲渡所得や雑所得では総平均方に準ずる方法で計算しなければなりません。この聞きなれない計算方法ですが、総平均法と移動平均法を足して2で割った様なやり方です。この所為もあり、一部売却の場合は簡単に計算できません。ところで税法では、長期保有等により取得価額の把握が困難な場合の取扱いを定めています。これに拠れば、譲渡収入の5%相当を取得価額としても良い(概算取得費控除)ことになっています。尤もこんな不利な選択をする人が居よう筈がありません。

この様なケースでは、社員持株会から引出したときの名義書換日を取得日として、その日の終値をその株式の取得費とすることが認められています
また、この引出し日が平成13年年9月30日以前であれば、平成13年10月1日の終値の80%相当を取得費とする特例措置があります。
(お断り)平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例(平成22年12月31日までの譲渡の場合)は、平成22年度税制改正により廃止されました。

 
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