①T-Bondの売却益は、譲渡所得区分の何れに該当するか?
②米ドル建て預金から、T-Bondへの乗り換え時に、為替差損益は発生するか?
③税務上の為替差益と為替差損が泣き別れになるとすれば、これを如何に救済するか?
外国公社債の売却損益ですが、その種類に応じて非課税になるものから、総合課税の対象になるものまで様々あります。本件T-Bondは、ゼロクーポン債と呼ばれる一種の割引債で、この売却損益は総合課税の譲渡所得になります。分離課税や非課税所得ではありません。この辺り、金融商品知識の乏しい我々が判断するのはリスクが有りますので、証券会社に確認した方が無難です。
*平成28年1月1日以降、外国公社債の売却損益及び償還差損益の取扱いが変更になります。
総合課税の譲渡所得であれば、50万円特別控除の対象になります。更に保有期間が5年超であれば、特別控除後の金額の2分の1を総所得金額に加算すればOKです。
外貨預金を解約し、同一通貨建ての他の外貨預金に移し替えても、為替差損益を認識する必要はありません。これは、他の銀行に移し替えた場合も同じです。
これに対して、MMF(米ドル建て公社債投資信託)などその他金融商品に乗り換えた場合には、為替差損益を計上する必要があります。ご相談者のケースですと、3年前の77円から直近の118円まで、40円近い為替差益に課税されることになります。
この方は95円近辺で外貨預金を始められました。そうすると、T-Bondに乗り換えた時点で20円近い為替差損が発生したことになります。預金に係る為替差損益は、雑所得になります。為替差損は他の所得との通算はできませんが、プラスの雑所得との通算は可能です。幸いこの方には、3百万円近い公的年金収入がありましたのでこれと通算出来ます。そうすると平成23年分で過納となりますので、更正の請求をすれば還付が受けられます。
更正の請求の除斥期間は従来1年でしたが、平成23年12月31日以降に法定申告期限が到来する税については、5年に延長されました。今回はぎりぎりセーフと言うことになります。
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