ドル建て預金口座の為替差益に係る確定申告のご相談

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昨年8月にカリフォルニア州にある戸建て住宅を売却し、先生に御願いして日本の所得税確定申告及び納付も滞りなく完了しています。後は来春の確定申告で、外国税額控除に拠り源泉徴収された米国連邦税とカリフォルニア州税の還付を受けるだけですが、一つ気懸りがあります。米国で納税した残余の売却資金をそのまま米国の銀行に預けていますが、大幅な円安ドル高でかなりの為替評価益が出ています。何れ日本に取り寄せるか、或いは米国の金融資産の購入に充てる積りですが、どのタイミングでどの様に申告すれば良いでしょうか。

 

ドル建て預金に係る為替差益の取扱いは法令や通達で明確に規定されていますが、実際に申告される方がどの程度居られるかは存じません。小職の経験では皆無です。ただこの処の大幅な円安で、課税当局も来春の確定申告では厳しく目を光らせる可能性があります。来年の貴方の確定申告は外国税額控除に拠る多額の還付申告であり、加えて国外財産調書も提出されていますので、慎重に対処された方が良いと思います。課税時期は以下をご参照下さい。日本の申告での所得種類は総合課税の雑所得です。米国での課税は原則としてありません。

1.不動産譲渡所得の収入金額に適用される為替レート
個人が外国通貨で支払いが行われる資産の販売を行った場合の円換算は、その取引を計上すべき日の対顧客直物電信相場の仲値(TTM)に依ることが原則とされています。不動産所得と異なり,継続適用を条件とする電信買相場(TTB)で円換算額を計算することは認められません。なお譲渡代金として受領した外国通貨を受領の都度直ちに売却して本邦通貨を受け入れている場合は、TTBにより円換算した金額を譲渡価額とすることが出来ます。

2.外貨建て預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い
所得税法第57条の3で、居住者が外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額は外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、各年分の所得金額を計算するものとされています。不動産譲渡債権を回収して外貨建て預金に預け入れる行為も外貨建取引に該当しますので、厳密に言えば1の取引日と預金日が異なる場合は為替差損益が発生しますが、通常は取引時レートを以て預金時レートとすることで差支えないと思われます。
外貨建て預金を払出して他の資産を取得した場合は、外貨建取引に該当しますので為替差損益を所得として認識する必要が有ります。円建てやユーロ建てなど他通貨建て資産への乗り換えは言わずもがな、同じドル建て資産への乗り換えであっても外貨建取引に該当します。例えば、ドル建て預金を払出しドル建てMMFや米国上場株式等に投資した場合・米国内にある貸付用不動産や車を購入する場合などが典型的事例です。

ところが預貯金の預け替えに就いては扱いが異なります。所得税法施行令第176条の6第2項には、”外国通貨で表示された預貯金を受け入れる銀行その他の金融機関を相手方とする当該預貯金に関する契約に基づき、預入が行われる当該預貯金の元本に係る金銭により引き続き同一の金融機関に同一の外国通貨で行われる預貯金の預入は、法第五十七条の三第一項に規定する外貨建取引に該当しないものとする。” と定められています。これは外貨建て預貯金の預入及び払出が行われたとしても、その元本部分に関しては、同一通貨での預入及び払出が行われる限り、その金額に増減はなく、実質的に外国通貨を保有し続ける場合と変わりないと考えられている為です。なお政令中に同一の金融機関への預入と有りますが、同一の外国通貨で有れば異なる銀行間の預け替えであっても外貨建て取引には該当しないとの取扱いになっています。従って米銀のドル預金口座から邦銀のドル建て預金口座への預け替えに就いては、為替差損益を認識する必要はありません。

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