①日本での納税義務者の判定と課税対象所得の特定
居住者は、日本国内源泉所得のみならず国外源泉所得についても納税義務を負います。これに対し非居住者は、一定の国内源泉所得についてのみ納税義務を負い、国外源泉所得は非課税です。居住者とは ”非永住者以外の者で国内に住所を有し又は現在まで引き読いて1年以上居所を有する個人” と定義されています。従ってご相談者が米国不動産を自己使用・賃貸・売却されたときの住所又は居所が、アメリカにあったのか日本にあったのかが重要です。もし賃貸又は売却された時に日本の居住者であったならば、ご懸念の通り日本の所得税の申告漏れと言うことになります。
②米国での税務申告
一方米国に就いては、米国の居住者外国人であると非居住者外国人であるとを問わず、不動産賃貸所得と不動産売却益について納税義務を負います。ご相談者は恐らくアメリカでの申告は適正に済ませて居られるものと推察いたします。この場合に米国の居住者であるか、非居住者であるかにより課税の態様が大きく異なります。この辺りは、幣別稿「アメリカに所有する不動産に係る米国所得税の申告について」で詳しく解説して有りますので其方をご参照下さい。
③日本での期限後申告或いは修正申告に関する規定
先の税制改正で、税務当局による国税の増額更正可能期間が3年から5年に延長されました。
正確に言うと、2011年12月2日以降に確定申告期限が到来する国税については5年(贈与税は6年)、それより前に申告期限が到来したものは3年です。
④その他の留意事項
ご説明によれば、この他にご夫婦で連名預金口座(Joint Account)をお持ちの由です。
国内預金利子ですと20%の源泉徴収でファイナルになりますが、海外預金利子については総合課税扱いとなり確定申告が必要です。尤も低金利下で絶対額が大きくなければ、ご放念されても特段差支えはなかろうと思います。
またドル建て預金なので、必ず為替差損益が発生します。為替差益は雑所得として申告しなければなりません。反対に為替差損が出た場合ですが、他の雑所得があればこれと通算出来ますが無ければ通算出来ません。
連名預金は日本にない制度です。米国での贈与税認定課税は有りませんが、日本では贈与税認定や相続財産と見做される可能性が有りますので御留意下さい。
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