アメリカに所有する不動産の譲渡益や賃貸収入の確定申告のご相談

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所得税の確定申告時期が、近付いて参りました。昨年から国外財産調書を出しており、今年度も提出の予定です(出さないと罰則があるそうなので)。ところが、これまで米国に所有する不動産(1件は自己使用、1件は賃貸)に関連した日本での税務申告は一切行っていません。特に、自己使用分は3年前に売却済みで、かなりの利益が出ています。国外財産調書を出すとこの辺りの事情が明らかになるので心配です。今年度と過去の申告を如何すれば良いでしょうか?
このご相談には幾つか確認を要する事項があります。以上の情報だけでは、一般論としてのアドバイスしか出来ませんので、今後の作業工程表を兼ねてチエックポイントを整理して見ました。

①納税義務者の判定と課税範囲の特定

居住者については、日本国内の所得は勿論のこと、国外源泉の所得についても日本で課税されます。そうすると国内と国外で二重課税される場合が有りますので、救済措置として外国税額控除制度が設けられています。
一方、非居住者については、国内源泉所得のみ日本で課税されます。国外源泉所得は対象外です。例えばサラリーマンが海外勤務で日本を離れると、この時点で居住者から非居住者に変わります。この方が米国で居住用家屋を購入され、後日これを処分して利益を得たとしましょう。米国所在の不動産売却益ですから国外源泉所得に該当します。これに対する課税ですが、米国居住中に売却した場合は,米国の申告のみで日本での申告は不要、帰国後に売却された場合には米国と日本の双方で申告を行う必要があります。不動産賃貸収入についても同様の取扱いです。
売却(或いは賃貸)時に、居住者であったか非居住者であったかに拠り、日本に於ける課税上の取扱いが全く異なりますので、この判定が特に重要です。

②米国での税務申告の状況

米国所在の不動産の売却益(capital gain)に付いては、連邦税と州税が課せられます。但し所定の要件を充たす「主たる住居」の譲渡益であれば、一定額までは非課税となります。これを超える部分には、capital gain税率で課税されます。米国での非居住者の不動産売却益については、売価額の10%相当の源泉徴収が行われることもあります。
賃貸収入については、所得金額を計算して申告する必要があります。勿論赤字であれば納税は有りません。一方、これに代えて家賃収入の30%を源泉徴収して済ませる選択肢もあります。納税事務の手間が省けるものの、一般には不利なケースが多い様です。
これ等の外国税が課されていれば、日本でも税務申告が必要となった場合には外国税額控除の適用が受けられます。納税者の任意選択ですので、面倒であれば受けなくても良いのですが、明らかに損をします。

③期限後申告或いは修正申告が必要な期間の特定

先の税制改正で、税務当局による国税の増額更正可能期間が3年から5年に延長されました。
正確に言うと、2011年12月2日以降に確定申告期限が到来する国税については5年(贈与税は6年)、その他は3年です。お話では3年前に米国不動産を売却されたとのことですので、この申告要否の判断は微妙です。

④その他のチエックポイント

ご説明によれば、この他ご夫婦で連名預金口座をお持ちの由です。
国内預金利子ですと20%の源泉徴収でファイナルになりますが、海外預金利子については総合課税扱いとなりますので、一定額を超えれば確定申告が必要です。
またドル建て預金なので、必ず為替差損益が発生します。為替差益は雑所得として申告しなければなりません。反対に為替差損が出た場合ですが、他の雑所得があればこれと通算出来ます。他に雑所得が無ければ通算は出来ません。
最後に、連名預金のうち妻の持分が幾ら、夫の持分が幾らかの計算についてです。原則として、夫々が拠出した金額に基づき仕訳をする必要があります。単純に2分の1で済ませることは出来ません。
妻に収入が無いにも拘らず、多額の預金残高が有ると、その出処を調べられて贈与税認定がされる懸念もあります。
以上の通り、本件はかなり厄介ですので御留意下さい。

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