因みに20年ほど前に父が借地権者であった底地を私が地主から買取り、数年後に2世帯住宅に建て替えています。底地の買取り以降、地代は取っていません。
父は10年前に亡くなりましたが、その際に自宅家屋の共有持分を母が相続したものです。
個人間で、建物等の所有を目的とする土地の使用貸借が有った場合には、当該土地の使用権の価額を零として取り扱うとの個別通達(昭和48年直資2-189)が出ています。
従って今回の確定申告では、家屋の固定資産税評価額の2分の1(共有持分相当額)のみを課税価格に算入すれば良く、借地権を考慮する必要はありません。
検討しなければならないのは、息子さんが底地を買取りそれ以降お父様が地代を払わなくなった時の処理です。
個別通達では、この時点で借地権者であるお父様から底地権者である息子さんに借地権相当額の贈与があったものとして取り扱うことになります。
この課税を避けるためには、連署により、「当該借地権者は従前の土地所有者との間の土地賃貸借に基づく借地権者としての地位を放棄していない」旨の申出書を、所轄税務署長に提出しなければなりません。
ご相談者はお父様との連名で、借地権がお父様側に留保されている旨の申出書を出していました。
数年後にお父様と息子さんが、折半で二世帯住宅を建築しています。お父様が借地権者、息子さんが底地権者の土地に、共有の家屋を建てたので権利が錯綜している様に思えますが、使用貸借契約なので土地権利関係の変動は有りません。
お父様の相続に係る遺産分割協議では、当該借地権を息子さんが相続することになりました。これで息子さんは土地の所有権を手にしたことになります。
お母様は、家屋の共有持分2分の1を相続されました。
念のため、相続税の確定申告書を拝見しましたが、確かに借地権相当額が課税価格に算入され、これに対する相続税支払いも適正に行われていました。
以上の事実関係より、今回の相続では、家屋共有持分に係る借地権を相続財産として考慮する必要はありません。
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