次に譲渡費用です。借地権の譲渡では、多くの場合に地主への承諾料支払いが行われます。地上権と異なり賃借権に就いては地主の承諾を得る必要がありますので、承諾料支払は不可欠です。地主からの請求書に、未払更新料・地代差額・遅延損害金相当額と記載されていますが、実質は承諾料に他なりませんので、全額が譲渡費用に該当します。これ等の費用請求に対しては此れまで支払同意をしておらず、不動産所得の経費に算入した事実がないことを念のため確認しました。
一括取得した土地・建物を譲渡した場合の取得費の計算ですが、契約書の内容や消費税計算から分からないときは、購入価額の総額を購入時の夫々の時価で合理的に按分して計算します。固定資産税評価額の比率で按分したり、建物の標準的な建築価額表を用いるのが一般的で、収支内訳書の減価償却費計算もその様にして算出されたものと了解します。なお建物の償却費相当額ですが、業務用の場合は事業所得や不動産所得の計算上必要経費に算入される償却費の累計額となりますので御留意下さい。
借地契約の期間更新(例えば20年)に伴い支払った更新料が有る場合、施行令182条の規定に拠り支払済み権利金の一部が必要経費に算入されますが、本事例については該当する事実関係がありません。
譲渡費用ですが、今回地主に支払った未払更新料や未払地代差額がこれに該当するかどうかです。借地権を譲渡するときに地主の承諾をもらうため支払った名義書換料などが譲渡費用になり、資産の維持・管理のために掛った費用は譲渡費用にならないのが原則です。更新料は借地権の取得価額を構成し、地代は不動産所得の必要経費になるのが原則的取扱いですが、これらについては地主からの要求に同意して来ませんでした。今回借地権と底地権の連動契約を成立させるため、実質的な承諾料として地主に支払うものなので請求名目に拘らず譲渡費用になります。
(お断り)
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