都内に高齢の母名義の宅地が2筆あります。隣り合わせの宅地で、1筆には母(独居)の居住用家屋が、もう1筆には長兄家族の居住用家屋が建っています。長兄の居住用家屋は長兄の所有で、母への借地料支払はありません。相続人は、長男のほか次兄と長女の私の3人です。次兄と私は夫々世帯を構えており、居住用家屋を所有しています。そろそろ相続税対策を考える必要が有りますが、小規模宅地等の特例を最大限活用するには母名義の宅地を誰がどの様に取得するのが良いでしょうか?
お母様の居住用部分の宅地については、3人のご兄弟のうち何方が取得するにしても小規模宅地等の特例の適用が受けられません。これに対し長兄の居住用部分の宅地については、長兄が取得すれば適用が受けられます。但し、お母様と長兄の方が、生計を一にしていたことが条件になります。生計非同一ですと適用がありません。次兄又は長女が取得される場合は、適用がありません。なお御兄弟3人が略均等に遺産を取得したにも拘らず、小規模宅地等の特例により長兄の相続税負担が相対的に軽くなることが考えられます。そうした場合は、代償分割に拠り調整することも一案です。
詳細をお聞きしたところ地積は2筆合わせて略100坪で、特定居住用宅地等の面積制限330㎡の範囲内です。お母様と長兄が生計を一にしていたかどうかの判断は微妙ですので、別稿のQ&A「生計を一にする親族の判定”に関するご質問」をご参照下さい。
1.先ず母が居住する家屋の敷地部分についてですが、特定居住用宅地等に該当するための親族の要件(措法第69条の4③二)に該当する方が居られません。従って相続税負担の軽減の観点からは、ご兄弟の何方が相続しても同じと言うことになります。
2.次に長兄家族が居住する家屋の敷地部分についてですが、長兄とお母さまが生計を一にしていたかどうかで適用の可否判定が異なります。
生計を一にしていた場合、長兄の居住用部分は被相続人等が居住の用に供していた宅地等に該当します。一方親族の要件についても、被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始前から申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の居住の用に供していることに合致します。次兄と貴方は親族の要件に合致しないため適用を受けることが出来ません。
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