離婚に際して居住用不動産を妻に財産分与した方から確定申告についてのご相談

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昨年妻と協議離婚しました。この際に私名義(共有名義の一戸建てで持分は2分の1)の居住用不動産持分の全部を財産分与しましたが、これに関連して4月に所轄の税務署から問い合わせが送られて来ました。その中に居住用財産を譲渡した場合の3千万円特別控除の適用を受けるのであれば住民票その他の書類の提出が必要となる旨の記載が有りましたが、話の全体像が良く掴めません。どうすれば良いのでしょうか。
民法第768条で、離婚をした者の一方は相手方に対して財産の分与を請求できると定められています。財産を貰う側には原則として贈与税が掛からないことは皆さん良くご存知ですが、渡す側に所得税が掛かる場合が有ることは余り認識されていない様です。簡単に言ってしまえば
現預金で分与した場合には、所得税は発生しません
現預金以外の資産、例えば不動産や株式を分与した場合には、分与をした相手方に対しその時の価額(時価)で資産を譲渡したことになりますので(所得税基本通達33-1-4)、時価が取得費と譲渡費用の合計を上廻ると譲渡所得が発生します。若しご相談者がサラリーマンなら、給与・退職金以外の所得が20万円超あれば確定申告をしなければなりません。

時価の調査と取得費の計算を行い、譲渡益または譲渡損を算出する必要があります。時価は理論値を求めるしかありませんが、近隣の実際取引価格や公示価格などを参考にして下さい。建物部分については経過した期間に対応する減価償却計算が必要です。

ところで居住用財産の譲渡については幾つかの優遇措置が受けられます。先ず3千万円特別控除が考えられます現に居住している家屋の譲渡のほか、居住しなくなってから3年を経過した年の年末までの譲渡についても適用があります。但し配偶者その他の特殊関係者への譲渡については適用が有りません。また適用を受ける為には、譲渡をした年分の確定申告書に適用を受ける為の必要事項の記載と住民票その他の必要書類の添付が条件(確定申告要件)とされています。

所有期間が10年超ですと、6千万円以下の所得に対する軽減税率の適用が受けられます。国税・地方税合わせて14%の分離課税となります。3千万円控除控除適用後の譲渡益に適用されますが、3年に1度の制限が有ります。

特殊関係者への譲渡に該当するかどうか事実関係次第ですが、離婚手続き終了後に財産分与したのであれば、分与時点では特殊関係者ではないので適用は認められます。正式な離婚前に財産分与した場合には特殊関係者への譲渡として受けられない可能性があります。

次に確定申告要件ですが、ご質問の内容から推測して医療費控除などの還付を目的とする確定申告はされていない様です。従って期限後申告にはなりますが、要件を充たしていれば必要事項の記載と必要書類を添付した確定申告書を提出すれば3千万円控除の適用が受けられます。

若し確定申告書を提出済みであれば多少厄介ですが、宥恕規定(*)に拠る救済措置が受けられる可能性もありますので税務署にご相談されてはどうかと思います。

(*)宥恕規定とは、確定申告書の提出がなかった場合や有っても必要事項の記載と必要書類の添付がなかったことについて、已むを得ない事情が有ると認められる場合には税務署長の職権で適用が認められるとの規定です。

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