1.法定相続人になる者
法定相続とは遺言が無い時の相続であり、遺言があれば話は別です。遺言では法定相続人以外の者に財産を譲ることができ、法定相続分と異なる相続分を定めることができます。但し、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分の権利が認められています。満15歳以下の者及び意思能力のない者がした遺言は無効です。成年被後見人は、本心に復しているときに一定の方式で有効に遺言をすることが出来ます(民法973条)。有効に成立した後に遺言者が能力を失っても遺言は完全に効力を生じます。
①配偶者
配偶者は常に相続人になります。
②直系卑属
子は常に相続人になります。被相続人の養子は、養子縁組の日から嫡出子としての身分を有します。養子は、養子としての相続分と代襲相続分を合わせて取得します。子が相続開始前に死亡し又は欠格・廃除により相続権を失った場合は孫が子を代襲します。代襲者は被相続人の直系卑属でなければなりません。
③直系尊属
子や孫・曾孫などの直系尊属がいないときは、父母や祖父母などの直系尊属が相続人になります。配偶者の親は含まれませんが、実親でも養親でも相続人になります。直系尊属間では親等の近い者が相続人になります。叔父・叔母や従兄妹は相続人になりません。
④兄弟姉妹
直系卑属も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が相続の開始前に死亡し又は相続権を失った場合は、その子(甥・姪)が代襲相続します。兄弟姉妹の孫以下は代襲相続をすることができません。異母・異父の兄弟(半血兄弟)の相続分は同父母の兄弟(全血兄弟)の2分の1です。
2.相続人がいないとき遺産はどうなるか
法定相続人に当る身内が一人もいない場合は、相続人不存在となり相続財産を特別の法人として、相続財産管理人が財産を管理します。管理人は利害関係者や検察官の請求により、家庭裁判所が選任します。管財人選任の公告が官報に記載されてから2か月以内に相続人が現れないときは、清算手続きに入ります。その後再度相続人捜索の公告をし、現れなければ相続人不存在が確定します。そして後述の特別縁故者への分与を除き、相続財産が国庫に帰属します。
3.特別縁故の請求
被相続人と特別の縁故関係がある者から請求があった場合、家庭裁判者の判断で相続財産を分け与えることができます。分与の請求は相続人の不存在が確定してから3か月以内に申立てることが必要です。家裁は縁故関係の内容その他一切の事情を考慮して、分与するか否か、どの程度分与するかを決定します。この特別縁故者に当るのは以下に掲げる者で、自然人のみならず法人も含まれます
①被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の夫や妻、事実上の養子、叔父叔母など)
②被相続人の療養看護に努めた者(親族や知人の該当者、看護婦、家政婦など)
③その他の特別縁故者(①や②に準じるほど被相続人と物心両面に亙り交流があった者、療養看護を行った施設など)
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