平成21年と22年に取得した土地については個人・法人を問わず措置法で2つの特例措置(特定の長期所有土地等の所得の特別控除/平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の圧縮記帳)が設けられています。これをご存知ない方が多く、適用漏れが発生してトラブルになることが多いため、幣HPでも注意を喚起しています。
さてご相談の件で判断のポイントになるのは、一般に「宥恕(ゆうじょ)規定」と呼ばれるものです。この有無により、当初の確定申告要件の充足が絶対的に要求され更正の請求自体が出来ない事案と、税務署長の裁量により適用が認められる可能性がある事案とに分れます。
御相談の取引は、租税特別措置法第65条の5の2(特定の長期所有土地等の所得の特別控除)の該当案件と推察します。同条第三項には宥恕規定が設けられていますので、必要事項の記載と必要書類及び明細書を作成して更正の請求を行うことが可能と判断します。実際に還付が受けられるかどうかは、その他の適用要件や失念に到った事情等を総合勘案して、税務署長が裁量することになります。
「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」制度の概要をご説明します。
1.特例の対象となる長期所有土地等
法人が平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得をした国内にある土地等で、取得をした日の翌日から譲渡をした日の属する年の1月1日までの期間が5年超のものが対象になります。但し次に掲げるものは除きます。
(1) その法人と特殊の関係のある個人又は法人からの取得
(2) 合併、分割、贈与、交換、出資その他
(3) 所有権移転外リース取引又は代物弁済による取得
2.特別控除限度額
特別控除限度額は、長期所有土地等の譲渡により取得した対価の額又は資産の価額がその譲渡をした土地等の簿価と譲渡経費の合計額を超える部分の金額と、1千万円との何れか低い金額です。
3.適用除外
法人が長期所有土地等の譲渡をした日の属する事業年度に、その譲渡をした土地等の何れかに就き特定資産の買換えの場合の圧縮記帳等の適用を受けた場合は、この制度の適用を受けることができません。
4.確定申告要件
この制度の適用を受けるためには、確定申告書等に一定事項を記載するとともに、必要書類と計算の明細書を添付することが必要です。
(ご参考)
もう一つの特例措置、「平成21年及び平成22年にに土地等の先行取得をした場合の圧縮記帳」制度についても、簡単に纏めて見ました。
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に国内にある土地等の先行取得をし、且つ確定申告でこの特例の適用を受ける旨の届出書を提出した場合は、10年以内に譲渡した他の土地等の譲渡利益の80%(H22年の取得は60%)相当額を限度に先行取得土地等に就いて圧縮記帳が認められます。特別控除制度との相違点は、10年以内に譲渡をする土地が平成21年又は22年に先行取得した土地等以外のものであること、所得控除ではなく圧縮記帳であることの2点です。売却金額や節税効果に応じて、特別控除・圧縮記帳の何れを適用するかの判断をすることになりますが、一般には特別控除の方が有利です。
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