住宅ローン控除に関しては、次の5つの「居住用財産の譲渡所得の課税の特例」との重複適用が認められていません。特例の概要は、別稿「居住用不動産を売却する場合は、必ず5つの優遇措置をチエックして下さい」をご参照下さい。
①所有期間が10年超の居住用不動産を譲渡した場合の軽課税率(措置法第31条の3)
②居住用不動産を譲渡した場合の3千万円特別控除(措置法第35条)
③所有期間が10年超の居住用不動産を買換えた場合の課税の繰延べ(措置法第36条の2)
④特定の居住用不動産を交換した場合の課税の繰延べ(措置法第36条の5)
⑤既成市街地内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換(措置法第37条の5)
重複適用の場合は以下の制約を受けることになります。
1.居住用家屋等を居住の用に供した年分・その前年分・その前々年分の所得税について上記の居住用財産の譲渡所得の特例の適用を受けている場合は、居住の用に供した年分以降10年間について住宅ローン控除の適用を認めない。(措置法第41条第20項)
従って設例で3千万円控除の適用を受けた場合は、以降10年間住宅ローン控除の適用が受けられなくなります。
2.居住用家屋等を居住の用に供した年の翌年・翌々年中に当該居住用家屋並びにその敷地以外の資産(居住用財産等に限る)を譲渡して、その譲渡に就き上記の居住用財産の譲渡所得の課税の特例を受けるときは、居住の用に供した年分以降10年間について住宅ローン控除の適用を認めない。(措置法第41条第21項)
⇒令和2年税制改正
新規住宅等を居住の用に供した年の3年目に該当する年中に、従前住宅等の譲渡をして居住用財産の譲渡所得の課税の特例を受ける場合も、同様に住宅ローン控除の適用が認められなくなります。この改正は令和2年4月1日以降に行われる従前住宅の譲渡から適用されます。
3.上記2に該当する者が、当該譲渡をした年の前年分・前々年分の所得税について住宅ローン控除の適用を受けている場合は、当該前年分・前々年分の所得税についての修正申告書(確定申告書を提出していない場合は期限後申告書)を提出し納付すべき税額を納付しなければならない。(措置法第41条の3第1項)
設例が自宅を売却した資金で買換え資産を取得するとの前提であれば2には該当しませんので、修正申告書を提出する必要は有りません。若し買換え資産の取得を先行し、翌年以降に住替え前の自宅を売却して譲渡所得の特例を受けるのであれば2に該当し、修正申告の必要がありますので御留意下さい。
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