取引先の倒産で売掛金が回収できなくなった個人事業主の方から事実上の貸倒れ損失処理のご相談

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商業デザイン業を営む個人事業主です。青色申告の承認を受けています。大口納品先であるA社が昨年9月に突然倒産し、2百万円の焦げ付きが発生しました。倒産以降に回収できた金額は1円も有りません。間もなく所得税の確定申告が始まりますが、どの様に対応すれば宜しいでしょうか?

 

お話では債務者の状況や支払い能力から判断して未収金の全額が回収できない様ですので、事実上の貸倒れ損失として事業所得の金額の計算上必要経費に算入することが出来ます。青色申告者なので、一定の条件に合致すれば所得税の繰戻し還付を受けることも可能です。一方消費税については、課税資産の譲渡等に係る売掛金が貸倒れになった訳ですから、貸倒れに係る消費税額を控除することが出来ます。なおこの適用を受けるためには、貸倒れが有った事実を証する書類を課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日より7年間保存しなければなりません。

個人事業主にとり納品先の倒産は、多額の焦げ付きが発生するのみならず、今後大口取引が無くなると言う意味で二重の痛手です。

所得税・法人税とも貸金等の貸倒れ損失が認められるには3つの類型があります。

(ⅰ)貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ

更生計画等の法令の規定、或いはこれに基づかない債権者集会の協議決定などで、法的に貸金等の債権放棄をした場合には貸倒損失が認められます。

(2)回収不能の貸金等の貸倒れ

債務者の資産状況や支払能力等から見て、貸金等の全額が回収できないことが明らかな場合には貸倒損失が認めらます。

(3)一定期間取引停止後弁済がない場合の貸倒れ

継続的な取引を行っていた債務者との取引を停止した時(最後の弁済期)以後1年以上経過した場合、又は同一地域の債務者に有する売掛債権の総額が取立費用に満たない場合には、売掛債権から備忘価額を控除した残額の貸倒れ損失が認められます。

ご相談者のケースは(1)及び(3)には該当せず(2)により貸倒れ損失を経費参入することになりますが、その場合には ①貸金等の全額が回収できないこと ②それが明らかになった日の属する年分の必要経費に参入すること ③担保物が有る場合は全て処分した後でなければならないこと の3つの要件を全て満たす必要があります。形式要件ではなく事実関係に応じて是非が判定されますので、3要件に合致するかどうかを客観的に検討しましょう。

次に消費税です。事業者(免税事業者を除く)が国内において行った課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権に貸倒れが生じた場合は、領収が出来なくなった課税資産の譲渡等に係る消費税額を、その課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除することが出来ます。これが認められる貸倒れの要件は、所得税と同じです。この場合、7年間の証し書類の保存が適用要件になります。

 
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