老朽化したアパートを取り壊し賃貸マンションに建替えた場合の解体費及び資産損失に関するご質問

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小規模な不動産賃貸業を営んでいます。今年の3月に2DKタイプの古い木造アパート(4室)を取り壊し、跡地に軽量鉄骨造りのワンルームタイプ賃貸マンション(8室)を新築しました。完成引渡しは7月末で、8月から入居者募集を開始しています。この際に支払った旧アパート借家人への立退き料、解体費用、資産損失(建物や付属設備の未償却残高)ですが、今回の確定申告でどの様に処理すれば宜しいのでしょうか?

 

借家人への立退き料支払い及び古いアパートの解体費用は、不動産所得上の必要経費になります。次に資産損失ですが、これも同様に不動産所得上の必要経費になります。但し気を付けなければならないのは、貴方の場合貸付が事業的規模ではない様ですので、資産損失が生じた日の属する年分の不動産所得の金額(資産損失の必要経費算入前の金額)を限度として資産損失が必要経費に算入される点です。この他に、資産損失の金額の計算は、その損失が生じた日に固定資産の譲渡が有ったものと見做して所得税法第38条(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用して計算すると言った、想定外の縛りがありますのでご注意下さい。

古家を取壊してその跡に新しく建物を建設する場合の解体費と資産損失ですが、次の様にケースに応じて取扱いが異なります。
第三者から古家付土地を購入し概ね1年以内にその古家の取壊しに着手するなど、当初から取壊して土地を利用することが明らかな場合には、建物の取得に要した金額と取壊し費用の額の合計額を土地の取得費に算入しなければなりません(基本通達38-1)。
これに対しご質問の様に、自ら所有する土地の上に建つ事業用建物を取壊して新たに事業用建物を建築する場合は、取壊し費用と資産損失が不動産所得上の必要経費になります。仮に事業用建物ではなく非業務用建物を新築した場合であっても同様の取扱いになります。
建替えではなく古屋を取壊して更地で売却する場合ですと、不動産譲渡所得上の必要経費になります。

また不動産の貸付けが事業として行われているか、そうでないかに拠っても取扱いが異なります。貸付が事業として行われているかどうかの判断は、特段の事情がない限りいわゆる5棟10室基準(基本通達26-9)に拠ることになります。
貸付が事業として行われている場合ですが、資産損失の全額が取壊しに因り損失が生じた年分の必要経費に算入されます(所法第51条①)。これに対し、事業として行われていない場合には、損失が生じた年分の不動産所得の金額(資産損失の必要経費算入前の金額)を限度として資産損失の金額が必要経費に算入されることになります(所法第51条④)。取壊し費用についてはこの様な規定が有りませんので、何れの場合でも全額が必要経費に算入されます。

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