課税事業者となることを選択した事業者が当初2年間に調整対象固定資産を取得した場合は、選択3期目まで課税事業者選択が強制適用されるそうですが、幣社の場合は決算期を変更していますので選択4期目も課税事業者とならざるを得ないのでしょうか?
併せて課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れを行い且つ比例配分法により仕入控除税額を計算した場合に、第三年度の通算課税売上割合が著しく変動すると第三年度で仕入控除税額の調整が必要と理解していますが、幣社の場合は選択3期目ではなく選択4期目の通算課税売上割合で調整することになるのでしょうか?
基準期間の課税売上高が1千万円以下(基準期間が無い場合も含む)の免税事業者については、事業者の選択により課税事業者となることを認めて、設備投資等の税額の還付が受けられる様な措置を講じています。一方で1取引単位が1百万円以上の調整対象固定資産の仕入等を行った場合には、「課税事業者選択不適用届出の制限」と「課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整」の2つの制約を課しています。
1.課税事業者選択不適用届出の制限
課税事業者となることを選択した事業者が、次のイ~ハの全てに該当する場合は、調整対象固定資産の仕入等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以降でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出することが出来ない。
イ.課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までに開始した課税期間中(原則として2年間)に
ロ.調整対象固定資産の仕入等を行った場合
ハ.その調整対象固定資産の仕入等を行った課税期間につき簡易課税制度の適用を受けない場合(一般課税により申告する場合)
ここで間違え易いのは2点、先ずイです。原則として2年間に調整対象固定資産の仕入等を行った場合が該当することです。選択2期目に仕入等をした場合は、選択4期目まで課税事業者選択が強制適用されます。逆に選択3期目に仕入等をした場合は制限の対象になりません。
次に不適用届出書の提出が認められない期間です。調整対象固定資産の仕入等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以降しか提出できません。不適用届出書は提出日の属する課税期間の翌課税期間からその効力が生じますので、決算期変更等で1年未満の課税期間がある場合は、全体で3年超の強制適用期間が発生します。
2.課税売上割合が著しく変動した場合の仕入控除税額の調整
課税事業者が国内において調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い 且つ
イ.その課税仕入れ等の税額につき比例配分法により仕入控除税額を計算した場合において
ロ.第3年度の課税期間の末日にその調整対象固定資産を有しており
ハ.第3年度の課税期間における通算課税売上割合が仕入等の課税期間における課税売上割合に対して著しく変動した時には
第3年度の課税期間において仕入控除税額を調整します。
ここで間違え易いのが第3年度の課税期間の定義です。第3年度の課税期間とは、仕入等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間を言いますので、決算期変更等が有った場合は適用4期目が第3年度になることがあります。
*質問や相談をご希望の方は、ホームの「ご質問/お問い合せ」をご利用下さい。ビデオ通話での打合せも可能です。
*申告その他の実務をご希望の方は、ホームの「料金のご案内」をご参照下さいます様お願い申し上げます。