新たに課税事業者になった法人の手続きと調整計算に関するご質問

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ジュエリーの販売と修理を営む株式会社です。今年の9月末に第3期の決算を迎えますが、新たに消費税の確定申告を行う必要があります。どの様な点に注意しなければならないでしょうか?。
この会社の第2期ですが、特定期間(第1期の当初6か月間)の課税売上高が1千万円を超えていたものの、給与支払額を1千万円以下に抑えることにより、何とか免税事業者になることが出来ました。

第3期は、基準期間(第1期)の課税売上高が1千万円以上だったので、原則通り課税事業者になる訳ですが、この際に以下の手続きや確定申告での調整が必要になります。

 

免税事業者の判定に用いる基準期間の課税売上高は、1年に換算して計算しなければならない

設立初年度は必ず12か月以下の期間になりますが、この課税売上高を1年に換算して納税義務を判定しなければなりません。計算式は、課税売上高×12/設立初年度の月数です。分母に1ヶ月未満の端数があるときは、1ヶ月とします。

なお、個人事業者の場合は、基準期間(前々年)において事業を行った期間が1年に満たない場合でも、法人の様に年換算する必要がありませんので混同しない様にして下さい。

 

基準期間の課税売上高は、税抜き売上高ではなく実際に収受した売上高を用いて判定する

これが最も間違え易い点なので注意しましょう。消費税法第9条②には、”基準期間における課税売上高とは、課税資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額から売上に係る対価の返還等の金額(税抜き)の合計額を控除した残額をいう”と書かれてています。

そうすると、108円(税込み)× 100/108=100円(税抜き)と計算しそうなものですが、そうではありません。

事例では、基準期間において免税事業者でしたが、免税事業者については税込経理方式が強制されています。一方、消費税を売値に転嫁するかどうかは事業者の任意ですが、仕入れや経費に消費税が掛っていますので、転嫁しない方は先ず居られないでしょう。当然108円を請求します。この場合の基準期間における課税売上高ですが、100円ではなく108円で計算して下さいと言うことです。(基通1ー4-5)

同様に特定期間の課税売上高についても、免税事業者であった場合には、実際に収受した売上高を用いて判定することとされています。

 

免税事業者が課税事業者になった場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書」を提出しなければならない

届出書には、基準期間用と特定期間用の2種類があります。速やかにの意味ですが、決算を〆て課税売上高が1千万円を超えれば翌々事業年度は必ず課税事業者になる訳ですから、これが判明次第と言うことになります。

怠った場合、納税者側に何か不都合が有るかと言えば特段ないと思いますが、税務行政の円滑化協力として、然るべきタイミングで提出された方が宜しいかと思います。

 

免税事業者が課税事業者になる場合等の棚卸資産に係る仕入控除税額の調整が必要である

免税事業者が新たに課税事業者になる場合は、期首の棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者になった期間の課税仕入れ等の消費税額と見做して、仕入税額控除を行なうこととされています。こう書くと難しそうですが、”納税義務が免除されていた期間中に課税仕入れ等を行い、課税事業者に該当することとなった期間まで保有した棚卸資産に係る消費税額は、課税事業者になった期間の仕入税額控除の対象にして良いですよ” と言う極く当り前の話です。

この規定は、納税者の選択適用ではなく、全ての場合に適用される規定(棚卸資産の明細を記録した書類の保存が条件)なので、万一失念した場合には”更正の請求”を行うことが可能ですが、納税者に有利な取扱いなので忘れないようにしましょう

実務の細かな話になりますが、当該棚卸資産の課税仕入れの支払対価を算出する場合には、個々の紐付けを原則とします。但し、法人が移動平均法や先入先出法その他の平均法により評価している場合には、これも認められます。

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