賃貸併用住宅に係る住宅ローン特別控除を税務調査で否認された方からのご相談

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自宅敷地内の古家を取壊して、賃貸併用住宅を新築しました。自己資金で賄えない金額は、アパートローンのほか自己居住部分に就いて住宅ローン専門会社のローンを利用しています。先般、確定申告書を作成して住宅ローン控除の適用を申請したところ、所轄税務署から連絡が有り修正申告書の提出を求められています。自己居住部分の住宅ローンなのに、床面積に応じて賃貸部分と居住用部分への按分が必要との指摘ですが納得できません。どの様に反論すれば良いでしょうか?

 

判断材料となる正確な事実関係や当局の否認理由が確認できませんので、明言は避けて一般論として回答します。
住宅ローン控除に関しては、①住宅ローン控除を受けられる者の範囲、②対象となる住宅の範囲、そして③対象となる住宅借入金等の範囲に関する要件を充足する必要があります。ご相談の主旨よりこれ等は何れもクリアしている様です。そうすると、議論のポイントは租税特別措置法施行令第26条⑥の解釈・運用にあります。
これに就いては、措置法通達41-27(店舗併用住宅等の居住部分の判定)と質疑応答事例(居住用部分のみを対象とする借入金)に基本的な考え方が示されています。特に後者が重要です。

この中で”貸付対象が居住用部分に限られていてもそれは貸付金融機関における貸付限度額の根拠に過ぎないと考えるべきであり、居住用部分と事業用部分の按分計算の例外となるものではない”との運用方針が明記されています。尤もこれは家屋に居住用以外の部分があるとの前提ですので、家屋の構造や使用状況・融資条件からして議論の余地なく居住用部分に就いてだけの借入であると立証できれば話は別でしょう。
因みに幣事務所の顧問先には、賃貸部分と居住用部分が完全に独立した構造の鉄筋コンクリート造り建物を区分所有登記し、別々の金融機関からアパートローンと住宅ローンを借りている(抵当権も完全に分離)事例が有ります。ここまで徹底すれば認められる余地が有ろうかと思います。
本件に関しては、別稿「賃貸併用住宅に係る住宅ローン控除の確定申告」もご参照下さい。(令第26条第6項)
法第四十一条第一項 の居住者が新築をし、若しくは取得をした同項 に規定する居住用家屋若しくは既存住宅(その者の住宅借入金等にこれらの家屋の敷地の用に供する土地等の取得に係る住宅借入金等が含まれる場合には、これらの家屋及び当該土地等)又は同項 に規定する増改築等をした家屋の当該増改築等に係る部分のうちにその者の居住の用以外の用に供する部分がある場合における同項 の規定の適用については、次に定めるところによる。
一  当該居住用家屋又は既存住宅のうちにその者の居住の用以外の用に供する部分がある場合には、当該居住用家屋の新築若しくは取得又は当該既存住宅の取得に係る住宅借入金等の金額は、当該金額に、これらの家屋の第一項各号に規定する床面積のうちに当該居住の用に供する部分の床面積の占める割合を乗じて計算した金額とする。

 
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