ゴールデンウイークの前半、カミさんと栃木市へドライブに出掛けました。日光例幣使街道の宿場町や巴波川(うずまがわ)舟運の河港として栄え、かっては栃木県庁も置かれた伝統ある北関東の商都ですが、産業や交通の変遷に取り残され、今では歴史が止まったかの如き佇まいを見せる街です。
病院であった瀟洒な洋館・土蔵二階建ての新聞社・運河沿いの長い味噌蔵・豪壮な陣屋跡など夫々に趣は有るのですが、生活の気配が感じられず、何とはなしに侘しい気持ちにさせられます。歴史的建造物エリアに指定されているとはいえ、荒れるに任せた空家の状態では、早晩朽ち果ててしまうのではないかと心配です。家は住むために存在するもので、見せるのが目的ではない筈ですから。
丁度この季節、巴波川を無数の鯉のぼりが遊泳しています。本物の鯉も負けじと急流を泳ぎます。べか舟と呼ばれる木製の小舟を、老船頭が竿一本で巧みに操り、蔵の町を遊覧して呉れます。栃木河岸船頭歌をアカペラで歌うのですが、豊かな声量と伸びのある高音には驚かされます。オーバーではなく本当に巧いのです。百聞は一見に如かずなので。
北関東には?と言う様なB級グルメが数多存在しますが、栃木市のそれはジャガイモ入り焼きそばでしょうか。大正時代に建てられた呉服商の店舗を改装した小江戸そば好古一番館と言う小さな蕎麦屋でしたが、ふらっと入った割には中々に美味でした。先般急逝されたチイ散歩の地井武男氏も撮影で立ち寄ったらしく、店内に色紙が飾ってありました。