連休の後半、数年振りに信州松本を訪れた。今回は観光の他にちょっとした目的があった。
このところ何故か地方都市に第二の我が家を持ちたいとの妄想に駈られる。仕事の関係で常時東京を離れる訳には行かぬので、週末や夏季の気が向いた時だけ利用すると言う都合が良い話だ。尤も裕福な自由職業人でも有るまいし、実現可能性など皆無に近いのは分っている。それでも諦め悪く、百聞は一見に如かずと松本を目指す。
信州は恰も県全体が公園の如き佇まいだ。分けても松本・安曇野からの北アルプスの景観が良い。雪解け水が伏流水となり滝や堰を流れる。薄い群青色の澄んだ水に手を浸けると、悴む程の冷たさだ。
松本には音楽ホールや美術館が多い。8月終盤には恒例の松本音楽フェスティバルが開かれる。今年のメインは小澤征爾指揮のベートーベン交響曲第5番運命だ。小品としてボレロや牧神の午後なども演奏される。ただ前回がそうだった様に、小澤の体調次第では代演になる可能性がある。已むなしとは思うも、現実にそうなるとガッカリする。
町の中心を流れる女鳥羽川に沿って白壁の蔵が並ぶ中町通りを散策し、北に転じて松本城方向に向かうと閑静な住宅街に出る。こじゃれたお屋敷やマンションが並び、住環境としては申し分なさそうだ。
さて本題は食のリサーチだ。これ無くして街の良し悪しは語れない。複数のネット情報から評判の店を2つ選び勇躍出掛けたものの、味と接客態度にガッカリさせられた。そもそも食べ物屋は粗利を挙げるために食材の質を落としてはいけない。また客商売なのだから、人目憚らず従業員を叱るなど論外である。商売の基本がなっていない。先入観で言うのではないが、東京の所謂老舗とはレベルが違うと実感させられた。
小職の松本熱が一変に冷めたのを見て嫁は大いに笑い、早速娘に報告せねばと宣った次第。