<都市における人口の急激な減少と高齢化を背景とする、改正都市再生特別措置法が、H26年8月に施行されました。マスコミ等で余り騒がれていませんが、実は既に200近い自治体が、これに基づく立地適正化計画の策定に取り掛かっています。具体的に我々の生活や財産にどの様な影響が有るかですが、端的に言えば居住誘導区域外にマイホームを所有していると資産価値の減少が避けられなくなります。詳しく内容を見てみましょう。
改正で、市町村は都市計画区域内の区域に付いて、住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るためのマスタープラン(立地適正化計画)を作成できる(*注)ことになりました。医療福祉施設や商業施設、住宅等が纏まって立地し、高齢者を始めとする住民が公共交通によりアクセス可能なコンパクトシティ・プラス・ネットワークを構築すると言うコンセプトです。市町村はこの計画の中で、以下の事項を定めることになっています。
ィ)居住を誘導すべき区域(居住誘導区域)の設定
ロ)居住誘導区域外からの移転を支援する措置等
ハ)医療施設・福祉施設・商業施設などの都市機能増進施設を誘導すべき区域(都市機能誘導区域)の設定
二)都市機能増進施設の立地を図るための事業や支援措置等
(*注)”出来る”ですから、全ての市町村に作成が義務付けられている訳では有りません。例えば神奈川県ですと、現在具体的な取り組みを実施しているのは、相模原市・小田原市・大和市の3市みです。然しながら、作成期限が有る訳ではないので、これから拡大の可能性が十分あります。
最大の関心事は、何処が居住誘導区域になり、どこが区域外になるかです。これ次第でマイホームの資産価値が大きく変る可能性があります。市町村が作成する立地適正化計画には、その区域を記載する必要があります。公表時点で具体的な線引きが判明しますが、これは早くとも平成29年と言われています。 これからマイホームを購入或いは新築予定の方は、後日マイホームが居住誘導区域外にあったなどと言うことがない様に気を付ける必要があります。因みに計画内容は、宅地建物取引業法で事前説明が義務付けられている重要事項には該当しません。
国土交通省の「立地適正化計画作成の手引き」によれば、居住誘導区域として望ましい区域像を次の様に想定しています。これから判断して、今後区域外になる可能性が有る物件は、割安でも手を出さない方が賢明です。
<生活利便性が確保される区域>
都市機能誘導区域となるべき中心拠点、地域/生活拠点の中心部に徒歩、自転車、端末交通等により容易にアクセスできる区域、及び公共交通軸に存する駅、バス停の徒歩、自転車利用圏にある区域
<生活サービス機能の持続的確保が可能な面積範囲内の区域>
将来推計人口等をベースにして、現状における人口密度の維持を基本に、医療、福祉、商業棟の日常生活サービス機能の持続的な確保が可能な人口密度水準が確保される区域
<災害に対する安全性等が確保される区域>
工業系用途、都市農地、深刻な空き家空き地化が進行している郊外区域は誘導区域に該当しない
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