CRS(共通報告基準)により国税庁が海外金融口座情報55万件を入手、資産隠しの税務調査に活用される見込み

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CRS(Common Reporting Standard)は、国外の金融機関に保有する口座を利用した租税回避行為を防止するために、OECD(経済協力開発機構)が策定した各国税務当局が金融口座情報を国際間で自動交換する制度です。
現在日本を含む100以上の国または地域が参加しており、参加国・地域に所在する金融機関は、管理する金融口座から税務上の非居住者を特定し当該口座情報を自国の税務当局に報告しなければなりません。報告された情報は各国の税務当局間で共有され、海外にある資産隠し調査の有力なツールになります。ケイマンやパナマなどの所謂タックスヘイブンも加入していますが、アメリカは現在の処参加していません。

日本では2017年1月1日に改正実特法が施行されており、2018年9月から金融機関による口座情報の報告と海外課税当局との情報交換が開始されました。国税庁は既に50の国・地域から9万件の情報を入手(*)しており、これから本格的な調査及び分析が開始されます。平成27年度確定申告から義務付けられた国外財産調書の提出ですが、ここ数年は9千件程度の実績に止まっており、明らかに提出漏れが有ると思われます。順次CRS情報との照合が進められる予定ですので、思い当たる節がある方は速やかに対応されることをお薦めします。
(*)H30年10月31日の国税庁発表によれば、9月・10月に日本が受領したCRS情報件数は64の国・地域から551千件になっています。対する提供は58の国・地域への89千件です

海外金融口座に係る直接的な申告漏れとしては、海外預金利子や為替差益、有価証券譲渡益などが考えられます。海外預金利子については世界的な低金利で、該当が有っても金額が少額なので無視されている方が多いのが実情と拝察します。然しながら調査の本丸は、相続税や贈与税の課税資産の申告漏れ、海外不動産の譲渡や賃貸に係る課税所得の申告漏れ、の補足にあることは間違いありません。当事務所でも、海外不動産を売却したが資金を日本に引くと税務署にばれ易いので、増額更正の期限切れまで海外口座に預けて置く積りだと言った話を時たま耳にすることがあります。こうした不適正且つリスクが大きい租税回避行為には有用な牽制になりそうです。

国外財産調書の提出漏れに初の刑事罰適用
令和元年7月、大阪国税局が国外送金等調書法違反(不提出)と所得税法違反の罪で、京都市の家具輸入販売経営者を京都地検に告発しました。調書不提出による国外送金等調書法違反罪での告発は全国初です。 国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合、または国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

 
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