純金の仏像・仏具が相続税対策になるとの思い込み

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相続増税を控えて、全国紙が相次ぎ「金の仏像・仏具、相続税対策で脚光」との見出しで、純金の仏像や仏具を買い求める顧客が増えていると報じています。同時に、過度に高額な商品や、投資・骨董目的の場合は課税されることが有るとの警鐘も鳴らしています。どう考えれば良いのでしょうか?

純金仏像は以前から有る相続税対策のアイデアですが、ロジックを整理してみましょう。
相続税法第12条(非課税財産)第1項第2号には、
 “墓所,霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるものは相続税の課税価格に算入しない”
 相続税法基本通達12-2(祭具等の範囲)には、
 “法第12条①2号に規定する「これらに準ずるものとは、仏壇,位牌、仏像等で日常礼拝の用に供しているものをいうが、商品、骨董品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする”
と定めています。

仏像・仏具の素材が、純金ではダメとは何処にも書かれていません。新しい規制通達でも出されぬ限り、日常礼拝の対象であれば非課税財産になると考えて差し支えないでしょう。
ところで、資産家の相続税対策として有効であるためには、
ィ.ある程度金額的に纏まったもの
ロ.金地金としての価値があるもの
であることが求められます。

1-2百万円の商品では、仮に節税効果があるとしても絶対額が知れています。数千万円の純金仏像・仏具を作るとすれば、税務署から投資の対象と指摘される惧れがあります。精々5百万円程度が許容範囲でしょうか。
もう一つの不都合は、加工賃が高い点です。某貴金属店のネット通販価格を調べて見ました。24金製の仏像130gの小売値は1408千円ですが、インゴットベースの価値は640千円に過ぎません。2.2倍の開きがあります。比較的加工賃が安いとされる仏鈴でも、220gの小売値1609千円に対し、インゴットベースの価値は1092千円で、乖離は1.47倍です。

相続税の最高税率は、改正後でも55%ですから、仮に非課税の主張が認められたとしても、多くの場合に加工賃が節税効果を上回ってしまいます。万一、祭具に非ずと税務署から否認された場合には、骨折れ損の何とかと言うことになってしまいます

 
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