上海に所有する自己居住用マンションの売却は、中国在住時或いは日本へ帰国後の何れで行う方が有利かとのご相談

Print Friendly

 

上海のマンションを近々売却することになりました。現在日本に住民票はありません。しかしこの売却で帰国する予定です。それで住民票を復活させることになりますが、日本での所得税申告は売却時点(売買契約書の日付)で日本に居住しているかどうか(住民票の有無)に依り要否が決まるとの認識ですが、間違いないでしょうか。例えば今年の10月1日に売却して、10月5日に住民票登録した場合は、日本で所得税申告をする必要はないでしょうか?
日本の不動産譲渡収入の認識時期は、引渡し基準に代えて契約日基準にすることが認められていますが、正確には売買契約日ではなく契約効力が発生する日ですので御留意下さい。
次に課税国ですが、中国にお住いの間に現地に在る不動産を売却した場合は、中国側での課税のみで、日本で申告・納付をする必要はありません。対して帰国後に売却された場合は、日中租税条約第13条により居住地国たる日本の課税権のほか、不動産が在る中国にも課税権が認められています。そうなると日中で二重課税が生じますが、同第23条②項に拠り日本の所得税法に従って外国税額控除の適用を受けることが出来ます。尤も彼我の税率差等に起因して外国所得税>日本の所得税及び住民税になると、控除し切れない外国法人税が発生するケースも考えられます。日中ともに、一定の居住用財産の譲渡については免税(特別控除)制度を設けていますので、この辺りも考慮する必要があるでしょう。ただ一般論としては、帰国前に中国で不動産取引と関連税務手続きを完結して置く方が得策ではないかと思料致します。

  

個人の不動産売却に伴う中国側での課税としては、営業税・土地増値税・個人所得税が考えられます。営業税は一種の消費税ですが、小規模納税義務者に配慮して営業収入が一定基準に達しない納税義務者は営業税が免除されます。土地増値税は、国有土地使用権やその上に在る建築物等の譲渡益に着目した重課課税ですが、2008年以降は暫定的に個人の住宅販売について徴税が免除されています。残るは個人所得税ですが、5年以上自己使用し且つ家庭で唯一の生活用住宅の財産譲渡所得については免税扱いです。そうするとご相談者のケースは、中国での課税が無いのではと推察いたします。

日本での課税ですが、居住用不動産に係る各種の優遇措置が受けられるかどうかが気になるところです。3千万円特別控除ですが、海外不動産であっても所与の要件を満たしていれば適用が受けられます。意外に思われるかも知れませんが、措置法第35条には居住用家屋の所在地に関する制限がないためです。従って帰国後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すれば良い訳です。一方、措置法31条の3の6千万円以下の所得に対する軽減税率の適用は受けられません。その他の優遇措置についても同様に不適用となるものが有りますので確認が必要です。

(注)本解説文中には、一部筆者私見に基づくところがありますのでお断りして置きます。
   なお別稿で「上海に在るマンションを売却された方から所得税の期限後申告に付いてのご相談」と題する事例紹介がありますので、其方もご参照下さい。
*本記事に関する質問や相談をご希望の方は、お電話又はホームの「ご質問/お問い合せ」を利用してご連絡下さい。
 ご来店での初回相談は無料とさせて頂いております。
*申告その他の実務をご希望の方は、ホームの「料金のご案内」をご参照下さいます様お願い申し上げます。

関連記事: