リバースモーゲージローンの利用を検討されている方からのご相談

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リバースモーゲージローンに関する新聞記事などを良く目にします。自宅を担保に老後の生活資金を融資する仕組みとのことなので選択肢の一つとして検討したいと思います。ただ商品説明書をみると、中途で返済しなければならないリスクが有ると言うのが気掛かりです。利用の目的やメリットは大凡理解できますが、一方の使い勝手が悪い点について簡単に教えて下さい。
一定の要件を満たす居住用不動産(主に首都圏の一戸建てに限られます)に、第一順位の抵当権を設定して老後の生活資金を融資し、契約者死亡後に居住用不動産の売却処分などにより一括返済させる仕組みです。
社会福祉事業として公的機関が行うもののほか、金融機関や住宅メーカーが提供するものがあります。一般に公的機関が行うものは制約が厳しく、利用できる人は限られます。民間が行うものも、地価下落に伴う長期の回収リスクや事務処理の負担が大きいため、必ずしも借り手側にとって使い勝手が良いものではない様で、これまで然程に拡がりを見せて居りません。。

5月に、メガバンクの一つが新たにリバースモーゲージローンに参入するとの記事が掲載され、反響を呼びました。7月末の日経(金融探偵団)には、「子孫に家は残さず」とのセンセーショナルな見出しでこれを取り上げ、実際に利用されている方の声を伝えています。
今回の私の説明は、どちらかと言えばリバースモーゲージをネガティブに捉えているかも知れません。誤解が無い様に申し上げておきますが、個人的にはこのファイナンスの仕組みに期待するところが甚だ大きいのです。従って、使い勝手が悪い部分については率直に申し上げることで、一般の住宅ローン並に貸し手側の競争原理が働き、もう少し利用者にとって使い勝手の良い商品に改善されればと願っています。

件のメガバンクの商品説明書を、具体的に見てみましょう。
① 対象となる物件
東京都内にある一戸建てで、土地の評価が4千万円を超えるもの。⇔貸し手側の回収リスクや手間を考えればある程度物件の絞込みが出てくるのは仕方がないと思います。
② 金融資産を相応に保有し、安定且つ継続した収入の見込める方。⇔借り手の支払い能力を担保に貸す訳ではないのです。商品の性格からして首を傾げたくなります。
③ 資金使途
資金の使徒を限定する目的口と、限定しないフリー口があるが、フリー口に付いても借入時に使徒を確認して銀行が認めるものに限定。⇔それならば、原則資金使途は自由ですなどとパンフ等に書かない方が良さそうです。
④ 推定相続人の同意書
推定相続人から融資契約の内容や契約者死亡後の物件処分に対する同意取り付け。⇔担保提供資産の処分に関する権利を確保するためには、推定相続人からの事前の同意取り付けは不可欠でしょう。
⑤ 担保土地処分に係る譲渡所得課税
相続財産中の金融資産や保険金などで債務の弁済が出来れば良いのですが、担保土地を処分して弁済するとなればやや複雑になります。土地の譲渡所得が発生しますが、被相続人による売却ではないため3千万円控除その他居住用不動産に係る優遇措置はありません。相続人が相続財産たる土地を処分して承継債務を弁済することになりますので、単純承認してしまうと税負担の持ち出しになる可能性があります。
TAXの問題に限らず、債権の早期回収を優先する金融機関と、売却代金を最大化したい相続人とでは立場が異なるため、処分方法や価格に関するコンプレインが起きることも考えられます。
⑥ 貸越極度額の見直しによる返済
毎年土地評価額の見直しを行い、極度額の減額により融資残高が極度額を上回れば、上回る部分につき一括返済が必要。⇔追加の貸出に応じないのであれば兎も角、超過部分の一括返済はやり過ぎではないでしょうか。評価額の50%を極度額としており、加えて保証会社の保証まで要求している訳ですから。
⑦ 契約者が亡くなり寡婦になった場合
この場合、契約が終了し債務を全額返済しなければなりません。これがリバースモーゲージローン最大の難点です。残された妻が苦境に立たされるのは明白で、少なくともこの様な条件がある限りお薦めすることは出来ません

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