■ 松本 サイトウ・キネン・フェステイバル

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9月初めの信州は、日差しは強いものの爽やかな風が吹いています。安曇野の畑には白い蕎麦の花が咲き始めました。

松本市では、この時期恒例のサイトウ・キネン・コンサートが開かれます。今年のメインプログラムは、R.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」でした。S.キューブリックの“2001年宇宙の旅”冒頭部分に使われた作品ですが、第1曲「序奏」の重厚なファンファーレは皆さん良くご存知だと思います。
100名近い大編成のサイトウ・キネン・オーケストラが、全力で奏でるフォルティシモのフーガは圧巻でした。小澤征爾氏も一聴衆として来場され、颯爽と観客に手を振る姿は将に千両役者の風情です。つい最近まで、品川ナンバーのグレーのジャガーで、松本の街を疾駆する姿が度々見かけられたそうです。

映画のサウンドトラックとして使用されたのは、カラヤン指揮ウイーンフィルハーモニーの録音盤です。この夏発売されたG.ドゥダメル指揮ベルリンフィルハーモニーも話題になっていますので、機会があればお聴き下さい。

R.シュトラウスは、「神は死んだ」と言う挑発的な記述で知られるF.ニーチェの同名の著書に感銘を受け、これを交響詩に仕上げたと言われています。ヨーロッパ文明の根幹をなすべきキリスト教の思想や道徳は既に崩壊したとして、永劫回帰に繰り返されるニヒリズムの時代を生き抜くのは超人のみであると説くニーチェの思想は難解です。第一部は僅か10日余りで執筆されました。モチーフとなるツァラトゥストラの独白は、現代の視点からは同調できる部分が多々有ると思いますが、当時は容易に受け容れられなかった様です。ニーチェが本書に“万人の為の、そして何人の為でもない書物”と副題を付けたのが印象的ですが、この著書を現した数年後にニーチェは発狂します。

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