■ 高松 栗林公園

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P10007142師走、母の49日法要と納骨のため、数年振りに高松に帰省した。帰宅願望が強かったので、出来れば自宅法要を営みたかったが、諸般の事情でホテルでの開催となった。
余談だが、讃岐には真言宗と一向宗(浄土真宗)の信徒が多い。無論、弘法大師の出生地ゆえ真言宗が多いのは当然として、何故か一向宗、それも本願寺派ではなく別系統の興正派が多数を占める。どの様な経緯が有ったかは良く知らない。東京には興正派の末寺が無いので、讃岐出身の一向宗徒には不便である。止む無く、宗祖親鸞を同じくする西本願寺派として、仏事を営まざるを得ない様だ。
幸い母の姉妹は何れも長命で、足腰は弱っているが口だけは達者である。我が突き出た腹を見て、太り過ぎだと叱られたが、こうした小言が聞けるのは嬉しいものだ。数十年振りに再会する従兄妹も居り、慣れ親しんだ高松弁に戻るのに然程時間は掛らない。菩提寺のご住職は小学校の2年後輩だが、中々に恰幅が良い。一向宗ではこうした折に、蓮如上人の白骨の御門書を詠むのが慣わしだが、諸行無常を簡潔に説いた美文である。

市内に在る栗林公園は回遊式の大名庭園で、特別名勝指定の庭園としては最大規模を誇る。完成に110年余を要したが、特筆すべきは税や賦役に因る民の負担を慮り、雇用対策事業として造営された点にある。水戸偕楽園・金沢兼六園・岡山後楽園が日本三名園とされているが、景観としては栗林公園と兼六園が双璧だろう。偃月橋(えんげつきょう)から、南湖越えに眺める数寄屋造りの茶室(掬月亭きくげつてい)が取分け素晴らしい。
後方には紫雲山の松の緑が借景で連なる。麓に母校高松高校のグランドが有る。体育教師の手抜きだった気がせぬでもないが、シバシバ山腹まで走らされたのが懐かしい。

香川県をウドン県と改名したそうだが,真に無粋で怪しからん話である。そもそもウドンは高級な食い物ではない。あれは安価なオヤツなのである。かって高松ではどんな老舗喫茶店でもウドンを置いていた。気取ってコーヒーを嗜む傍らで、女学生がウドンをすする光景が極く当たり前に見られた。
瀬戸大橋の完成前には、本州・四国間に宇高連絡船が運航されていた。乗船するや甲板のウドン屋台を目掛けて走り、瀬戸の島々を眺めてウドンを啜った。今でも高松駅構内には、宇高連絡船ウドンと銘打った店が有る。ノスタルジアで喰ってみたが、然程に旨くない。何故だろうか?

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