リバースモーゲージを利用すると小規模宅地等の特例が受けられないとの誤解

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リバースモーゲージの認知度が広まり、都銀大手を始めとする取扱金融機関の数が増えている様です。老後資金の確保には、居住用不動産の収益化や流動化が不可欠と常々説いている立場からは、大変結構なことだと思いますが、一方で制度の仕組みに詳しいが故に使い勝手の悪さが気になります
先立ってもお客様から、S銀行でリバースモーゲージローンを利用したいがどうかと意見を求められましたが、これに対しネガティブなコメントをした記憶が有ります。①不動産下落リスク ②金利変動リスク ③長生きリスク等の問題が有るからです。ただ小職が頭の中で考えたことで、実際に利用された方の意見を聞いた訳では有りません。

リバースモーゲージの最大の利点は、住み慣れた我が家を手放さずに老後資金が調達出来る点にあります。高齢者の方が、自宅を担保に銀行へローンを申し込んだとしても難しいでしょう。種々リスクがあるのは承知の上で、自分の財産で自ら老後の始末を付けたい。これが利用拡大の根底にあります。
ところで、リバースモーゲージは相続財産の評価にも影響します。利用者が亡くなると借入金は負の相続財産、担保の自宅は正の相続財産として相続人に承継されます。相続人は借入残高を一括返済しなければなりませんが、金銭で返すか或いは担保物件の処分代金で返すか(代物弁済の場合も有ります)の選択が出来ます。但し、これは飽く迄もファイナンスの話であって、相続税の評価とは何ら関係がありません。

先日、税理士業界の会報に,リバースモーゲージを利用している土地は、特定居住用宅地等として相続税評価で減額計算が出来るかどうか?” に関する研究論文が掲載されました。結論は、”自宅を処分することが前提であるリバースモーゲージを利用した土地については、特定居住用宅地等に該当せず、小規模宅地等の減額の適用を受けられない可能性が高い” と言うものでした。文末で多少断定的な表現を避けてはいますが、この結論には少なからず違和感があります。
関係法令や通達には、”被相続人又は被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等” とあるだけで、それが担保に供されているかどうかの制限は有りません。また先述の通り、残債を金銭で返済するか、担保物件の処分代金で返済するかの選択は任意で、相続発生時に売却処分が決定している訳ではありません。従ってその他の条件を満たせば、減額の適用は受けられると思います。

殆んどのリバースモーゲージに、借入人は自己所有の自宅に夫婦又は単身でお住まいのお客様に限るとあります。そうすると、減額の適用が受けられる相続人は、配偶者又は所謂家なき子に該当する親族(配偶者がいない場合のみ)に限定されますが、その他の要件を満たす限り、例え担保処分されたとしても相続税評価の減額計算は認められる筈です。
借入金は担保評価額の50%に制限されていますので、減額適用前で 宅地等の評価額<借入金残高 となる可能性は低いと思われます。そうすると減額適用が出来るかどうかは重要です。

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