税制改正で一般社団法人等を利用した相続税や贈与税対策への規制が強化された

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平成30年度税制改正で、一般社団法人等の設立による過度の相続税・贈与税対策が規制されることになりました

一般社団法人は株式会社などに比べると馴染みの薄い法人組織ですが、着実にその数は増えており、年間1万件近い新規設立があります。 平成20年12月施行の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立される法人ですが、①出資者がいない ②登記手続きだけで設立できる ③事業目的に制限がない ④かっての公益法人の様な主務官庁の確認が不要、と言った特徴があります。特に設立費用が法人登記手数料の6万円で済み、相続税の課税対象財産から外れることが、相続税対策として同族事業会社の持株会社や賃貸不動産の所有・運営会社として用いられる所以です。

ところで、何故一般社団法人にすると相続税の課税対象外になるのでしょうか?それは一般社団法人には出資者持分と言う概念が無いためです。一般社団法人が所有する財産は自然人の誰にも帰属せず、また蓄積された利益の配当が禁じられているため、現行相続税法では課税対象外(=財産性がない)の取扱いになっています。
(注)一般社団法人の残余財産の帰属先は定款に定めるところに拠りますが、社員への分配規定は無効とされています(法人法第11条②)。規定がない場合は社員総会の決議で決定しますが、この場合に社員への分配は禁止されていません。然しながら定款又は法令で社員の残余財産分配請求権を禁止していない法人は、そもそも”持分の定めのない法人”に該当しないため相続税対策には馴染みません。

例えば親が所有する同族会社株式や賃貸不動産を一般社団法人に贈与又は譲渡して、配当収入や株主権、賃料収入や所有権を法人に移転します。これで相続財産から切り離すことが出来ます。然しながらそれでは従来の資産保有メリットが失われてしまいます。そこで親が一般社団法人の代表権を有する理事に就任し、親族を理事に選任して給与を支給します。法人の実効支配権を握っていますので、然るべきタイミングで代表権を有する理事の地位を、子や孫に承継させることも可能です。これが一般社団法人を利用した相続税対策の仕組みです。

今回の税制改正での規制内容は、次の2つです。これ等は平成30年4月1日以降の贈与や遺贈、又は理事の死亡について適用されます。但し同日より前に設立された特定一般社団法人については、平成33年4月1日以降の理事の死亡に係る相続税について適用されます。

(1)一般社団法人等に対して贈与や遺贈が有った場合の贈与税又は相続税の課税強化

個人から一般社団法人や一般財団法人など持分の定めのない法人に対して財産の贈与や遺贈が有った場合に、贈与者の親族その他特別関係者の相続税や贈与税の負担が不当に減少する結果になると認められるときは、当該法人を個人と見做して相続税や贈与税が課せられます。この規定は既に存在しますが、今回の改正でこの適用除外条件(役員等に占める親族の割合が3分の1以下であることその他:相令第33条③)の何れかを満たさない場合は課税する旨が明文化されました。

(2)理事の死亡に伴う特定一般社団法人等に対する相続税の課税

特定一般社団法人等の理事(前5年以内に理事であった者を含む)が死亡した場合には、特定一般社団法人等が純資産の一定額を死亡した役員から遺贈により取得したものと見做して相続税が課税されることになりました。なお特定一般社団法人等とは、①相続開始直前に於ける同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1超である場合、又は②相続開始前5年以内に同族理事数の総理事数に占める割合が2分の1超である期間合計が3年以上である場合、の何れかに該当する一般社団法人等を言います。

 

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