非居住者への相続や贈与に適用される国外転出時課税制度の盲点

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国外転出時課税制度では、時価1億円以上の有価証券等を保有する一定の個人が国外に転出するケースのほか、該当する個人から相続・遺贈・贈与により非居住者が有価証券等を取得する場合にも、みなし譲渡益課税が行われます。平成27年7月1日から既に適用が始まっていますが、ここに来てどうやら厄介な問題が起きている様です。

相続税の申告期限は、相続開始の翌日から10か月以内ですので時間的余裕が有りますが、被相続人の準確定申告期限は4カ月以内なので殆んど余裕は有りません。相続実務でも、この時点で遺産分割協議が纏まっているケースは多くないと思います。
ところが国外転出時課税制度では、この時点で未分割の有価証券等があれば、法定相続割合に応じ各相続人に移転があったものとして、みなし譲渡益課税が行われます。例えば時価2億円の未分割有価証券等があり、非居住者の法定相続割合が2分の1だとすれば、1億円の有価証券等含み益に対して15.315%の所得税が課される訳です。
その後遺産分割協議が纏まり、非居住者が6千万円の有価証券等を取得したとすれば、4千万円相当の有価証券等含み益に対する課税が過大になります。当然これは更正の請求により還付されるべきものですが、現行制度では還付の根拠となる条文が見当たらないので認められません。即時納付をする場合、更正の請求により課税の取消しが出来るのは、5年以内に有価証券等を、①売却せずに帰国/②贈与により居住者に移転/③即時納付者が死亡しその相続人等の全てが居住者になる、場合に限定されています。納税猶予の適用を受ける場合の、課税の取消し事由も略同様です。

明らかにこれでは可笑しいので、金融庁から平成28年度税制改正で更正の請求を認める措置の要望が出されている様ですがどうなるでしょうか?

(注)本稿は、税務研究会発行の週刊税務通信第3379号中の記事を参照しています。

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