母が父の遺産を全て相続すれば優遇措置で納付税額がないため申告をしなくても不都合がないのではとのご質問

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父の体調が思わしくないので母と相続対策を相談しています。相続人は母と私(既婚・別世帯)で、主な財産は都内に在る自宅1億円と金融資産8千万円です。万一の場合は分割協議に拠り母が全てを相続し、小規模宅地等の特例と配偶者の相続税額軽減の2つの優遇措置を使えば相続税の支払いはないと理解しています。そうすると態々手間と費用を掛けてまで相続税の申告をしなくても、特段不都合はないと思いますが如何でしょうか?

 

大凡の理解は合っていると思いますが、申告をしなくても済むという点で誤解されています。小規模宅地等の特例及び配偶者の相続税額軽減ともに、相続税申告書への適用を受ける旨の記載と必要書類の添付が要件になっています。相続税申告書には、期限後申告書及び修正申告書が含まれますので、、万一申告漏れを指摘されたた後でも対応は可能です。然しながら如何なる場合でも、申告書への適用を受ける旨の記載と必要書類の添付は欠かせません。申告の手間と費用を省くことが目的であればそうは行きませんので、面倒なことにならぬよう期限内に申告書を提出することをお薦めします。

小規模宅地等の特例に就いては、特定居住用宅地等を申告期限までに協議分割したものを配偶者が取得する訳ですから本事案は適用要件を充たしています。申告手続きですが、相続税の申告書(期限後申告書及び修正申告書を含む)に、適用を受けようとする旨の記載および計算に関する明細書その他財務省令で定める書類の添付がある場合にのみ適用されます(措法69の4⑦)。税務署長は申告書の提出がなかった場合又は記載若しくは添付がない申告書の提出があった場合に於いても、已むを得ない事情があると認めるときは特例の適用をみとめることが出来るとされていますが、その場合でも当該記載をした書類及び必要書類の提出が必要です(措置法69の4⑧)。従って如何なる場合でもこの申告手続きを行わずして特例の適用を受けることはできません。

配偶者が実際に取得した正味遺産価額が、1億6千万円以下若しくは法定相続分相当額以下であれば相続税は課せられません。この申告手続き及び宥恕規定は、小規模宅地等の特例と略同じです。強いて言えば相続税の申告書に加えて更正の請求書も対象になります。何れにせよ適用を受けるためには、申告書等に適用を受ける旨とその計算に関する明細の記載、並びに一定書類の添付が必要です。
ところで隠蔽仮装行為に基づき、調査に拠り更正または決定があることを予知してなされた期限後申告書又は更正の請求書については、配偶者の軽減規定を適用せずに相続税額が計算されることになっています(相法19の2➄)。相続税の申告書の提出義務があるにも拘わらず理由もなく申告をしないと、仮想隠蔽の意図があるのではと疑われることになり兼ねませんのでご留意下さい。
 
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