市街地にある広めの宅地は、旗竿地形状等での複数人に拠る分割取得が相続税対策として有効です

Print Friendly, PDF & Email

市街地に在る少し広めの住宅敷地の相続税対策として用いられるのが、複数の相続人による分割取得です。宅地は地目の異なる毎、利用目的(自用・貸付用・貸家の敷地用など)の異なる毎に ”1区画の宅地” として評価しますが、贈与や遺産分割に拠り宅地の分割が行われた場合は 分割後の区画を1区画の宅地 として評価することになっています。これを利用して宅地の相続税評価額を下げる訳です。分割後の宅地が通常の用途に供することが出来ない様な不合理な分割は論外ですが、一般的な旗竿地であれば妥当性がある分割として認められています。

(設例)都内の80坪ある敷地の戸建て住宅で一人暮らしをしていた母親に相続が発生しました。相続人は男子二人で、夫々自己所有のマンションに住んでいます。所謂家なき子には該当しないため、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。相続財産の大部分が当該宅地なので、兄弟で均等に相続したのち纏めて売却処分をすることにしました。ところがこの際の遺産分割のやり方次第では、相続税の負担が大きく違ってきます。添付資料  IMG を使ってご説明しましょう。

1.先ずは小規模宅地等の特例の適用が受けられないかを検討する
宅地の相続税対策の要諦は小規模宅地等の特例の適用にあります。些末な相続税対策でこれが出来なくなるのでは本末転倒です。本設例では、同居親族・家なき子・生計同一親族の何れにも該当しないとの前提に立っています。
2.実際の売却に当って支障(資産価値の減少)にならないこと
当該宅地の地積は標準的な戸建ての2倍近くあります。路線価も高いため時価は2億円と、簡単に売れる価格帯ではありません。全体の間口が14Mの奥行長大地ですから、2分割するには旗竿地にならざるを得ません。旗竿地の取引価額は整形地のそれより落ちますので、出来れば一括売りを実現したい処です。旗竿地形状での分割と登記は、飽く迄も相続税対策のためのバーチャルな対応に過ぎません。分割取得者が共同で売却すれば、最も有利な区画・形状で処分することが可能です。
3.共有登記は避けること
旗竿地の形状で分筆したとしても、AとBが各2分の1の持分で共有登記をした場合は、敷地全体の280㎡が1つの評価単位になります。折角の相続税対策が無意味になるため、単独所有登記にしなければなりません。。
4.旗竿地形状で分割取得すると何故相続税評価額が下がるか
市街地の宅地の相続税評価額は、正面路線価に地積を乗じて算出します。このとき奥行が24M以上あれば奥行価格補正率が適用されますが、設例の物件はこれに該当しません。280㎡のどの部分も評価額は均一です。従ってAが取得した宅地に就いては、2分割による影響が有りません。
これに対しBが取得した宅地については、間口狭小補正率と不整形地補正率が適用されるため、整形地に比べると27%相当の評価減になります。Aと合せた敷地全体では15%の評価減になります。

*本記事に関する質問や相談をご希望の方は、お電話又はホームの「ご質問/お問い合せ」を利用してご連絡下さい。
*申告その他の実務をご希望の方は、ホームの「料金のご案内」をご参照下さいます様お願い申し上げます。

関連記事: