土地活用としてのアパート建設には第三者目線での事業計画と税務のチエックが不可欠

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平成28年度の路線価が公表されました。東京都内は全体で3%近い上昇になりましたが、この傾向は’20年のオリンピック辺りまで続くのではないかと言われています。こうなると途端に増えるのが、プレハブメーカー等の”アパート建設による相続税対策”を謳った宣伝広告です。ところが一方では ”アパート急増/バブル懸念、空室リスク増える” 等と題して、金融機関の過度なアパート融資や物件の過剰供給に起因する空き家リスクに対し警鐘を鳴らす記事も目に付きます。
確かに相続税対策としてのメリットは有ると思いますが、反面でアパート建設により土地の価値が減少する可能性が有ることも忘れてはなりません。オーナーの立場からすれば、土地の更地価格+建設コスト=アパートの価値と積算ベースの評価額で考えがちですが、実際には収益物件としての不動産売買は収益還元法に基づく評価額で行われます。収益還元法とは、想定年間賃料÷還元利回りで物件の評価額を求める手法です。この評価額から建設コストを差引いた、アパート建設後の土地評価額が当初の更地価格を下回るケースも十分考えられます。そうなると相続税対策どころではありません。

1.相続税負担を軽減するための関連税制
関連する税制は2つあります。
先ず①金融資産や負債の相続税評価額がほぼ時価に等しいのに対し、土地(路線価)は時価の8割程度・建物(固定資産税評価額)は5割程度に抑えられていることです。次に②小規模宅地等の課税価格の特例で、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の一定部分については路線価の8割、貸付事業用宅地等については5割の評価減が認められています。
①は以前からある古典的な相続税対策ですが、確かに財産評価の圧縮効果が有ります。但し不動産市況が下落した場合、節税メリットを上回る損失を被るリスクが有ることを忘れてはいけません。過去に痛い目に合われた方も、少なからず居られる筈です。
尤もこの節税策を採るのであれば態々資金の固定化を招くアパートを建てる必要は有りません。流動性が高い都心の高層マンションでも買えば済む話です。

②は評価減の割合としては大きいのですが、アパートの場合は面積制限がネックとなり金額的に然程の節税効果が期待できません。プレハブメーカーや銀行はこの辺りを分かっていながらきちんと説明しないのが問題なのです。
小規模宅地等の特例の面積制限は、特定居住用宅地等であれば330㎡、特定事業用宅地等であれば400㎡、両者を併用する場合は730㎡です。一方、貸付事業用宅地の場合は僅かに200㎡しかありません。特定居住用宅地等や特定事業用宅地等と併用するのであれば、全部の合計が200㎡以下になる必要があります。仮にアパート敷地の他に180㎡の自宅敷地が有るとすれば、200㎡ー180㎡×200/330=90.8㎡がアパートの敷地に適用される面積制限です。アパートは持っているが、自宅はないと言う方は少ない筈です。8割の評価減が受けられる自宅敷地を優先すれば、アパート敷地に適用できる面積はほんの一部と言うことになります。

2.アパート経営はどの様な場合に適しているか
所有不動産の中に、利便性が高いにも拘らず充分活用されていない物件や余剰土地があれば、アパート経営が有力な選択肢になります。遊休土地では何も果実を生みませんので、中長期に安定収入が得られるメリットは大きいと思います。ところが問題は建設資金の回収で、特にアパートローンを利用した場合は不動産市況次第で将来の返済が厳しくなる懸念があります。自己資金で建てたとしても、冒頭申上げた通り却って土地の価値が減少することも考えられます。
アパート建設の適否は、不動産収益化の手段としての事業性で考えるべきで、少なくともメインの目的が税対策対策と言うのは如何なものかと思います。

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