長男への非上場株式の贈与による事業承継制度の利用についてのご相談

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60才台の会社経営者です。事業内容は、大手ホテル内のセルフランドリー機器のレンタルと保守で、全国展開をして居ります。ニッチな業界ですが、お蔭様で業績は好調です。男女2人の子供が居り、長男は会社の営業を担当しています。非上場株式の他に、自宅や何がしかの賃貸不動産も有りますので、資産をどう承継させるか前広に考える必要があります。特に会社の経営に重点を置いたアドバイスをお願い致します。

 

幾つかご提案させて頂きましたが、紙面の都合が有りますので、今回はいわゆる事業承継税制非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予の特例)の活用に絞って説明したいと思います。可なり大掛かりな仕組みですので、どの様なメリットが有るのか/主たる要件は何かと言ったポイントのみを理解し、後の実務は専門家に任せるのが現実的な対応かと思います。

1.どの様なメリットが有るのか

①会社の議決権株式等の50%超を有する代表権のある役員(贈与者)が、一定の要件(以下2で説明します)に該当する後継者(受贈者)に対して、保有する非上場株式等の全部又は一定数以上を贈与し、翌年3月15日の贈与税申告期限までに、会社・贈与者・受贈者が「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に定める要件を満たしていることに付き「経済産業大臣の認定」を受ければ、贈与税の納税が猶予されます。その後に先代経営者である贈与者が亡くなった場合は、納税が猶予されていた贈与税の納付が免除されます。

②贈与税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けた非上場株式等については、先代経営者(贈与者)の死亡により後継者(受贈者)が相続又は遺贈により取得したものと見做して相続税の計算が行われます。

③先代経営者(被相続人)の死亡により、後継者(相続人等)が相続又は遺贈により「経済産業大臣の認定」を受ける非上場株式等を取得し、その会社を経営して行く場合は、その課税価格の80%相当の相続税の納税が猶予されます。その後に後継者が亡くなった場合は、納税が猶予されていた相続税の納付が免除されます。

④これで仕組みがお分かりですね。事業承継税制を使って後継者に非上場株式の生前贈与をすれば、贈与時には贈与税が課税されず、先代経営者が亡くなった時に20%相当だけ相続税が課税されますが、残りの80%は課税されません。こうした事業承継を繰り返せば、相続が発生しても大部分は課税されずに済むと言う話です。

ただ適用要件が厳しく、また経済産業大臣の認定等の手続きが必要なため、実際に適用された事例は1千件足らずです。先の改正で、イ)後継者を先代経営者の親族に限定しない、ロ)従業員の8割以上の雇用維持義務を毎年から5年間平均に変更、などの緩和措置が採られましたが、どの程度の広がりを見せるでしょうか?
2.主たる要件は何か

会社の要件

ィ.経済産業大臣の認定を受けた中小企業者であること

ロ.資産管理会社でないこと(資産管理会社とは、有価証券や不動産等の総資産に占める割合が70%以上、或いはこれ等の運用収入が75%以上の会社を言う)

先代経営者(贈与者)の要件

ィ.贈与前に会社の代表権を有していたこと。なお贈与時点では、会社の役員であっても良いが、代表権を有していないこと。

ロ.贈与直前に、贈与者及び特別関係者分を含め総議決権の50%超を有し、かつ後継者を除きこれ等の中で最大議決権を有していたこと。

後継者(受贈者)の要件

ィ.贈与時点で、会社の代表権を有している20才以上の者。但し、後継者の親族である必要はない。

ロ.役員等の就任から3年以上を経過していること。

ハ.贈与後で、後継者及び特殊関係者分を含め総議決権の50%超を有し、かつこれ等の中で最大議決権を有していること。

手続き要件

ィ.猶予される贈与税額及び利子税相当の担保を提供する必要がある。

ロ.申告後も、引続き適用を受けるためには、継続届出書を経営継承期間は毎年、その経過後は3年毎に提出しなければならない。

ハ.申告後も、特例の適用を受けた非上場株式等を継続保有すること

二.一定の基準日における雇用平均を、贈与時の8割以上確保すること

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